Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2024.05.02

スマホで素肌を撮影し、AIが適切な日やけ止めを提案:ALLIE AI Beauty UV

一般的に紫外線がつよくなりはじめるのは、4月以降からと言われている。日差しが強くなってきた今日この頃、適切な紫外線対策ができていると言える人はどれだけいるだろうか?
紫外線対策のひとつに日やけ止めを塗る方法がある。多くの人が取り入れている手段だろう。しかし、自分の肌に合うもので、かつ正しく塗らないと、その効果を最大限発揮できないという。
そこで注目されているのが、花王からリリースされた「ALLIE AI Beauty UV」。スマホで素肌を撮影するだけで、AIが日やけ止めを選ぶための肌タイプ「UV肌型」と、肌と日やけ止めの相性を数値化した「美成膜値」を算出し、簡単に自分の肌に合った日やけ止めを選ぶことができるサービスである。
このALLIE AI Beauty UVについて、ALLIEマーケティング担当の朱 和玲(チュウ ファリョン)さんにお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
朱 和玲(チュウ ファリョン)

2019年に立教大学を卒業後、国内化粧品会社に就職。デジタルマーケティングの経験を経て、2023年に花王に入社。入社後はALLIEにて、「ALLIE AI Beauty UV」やSNS運用を中心に、ブランドのマーケティング業務を担当。

日やけ止めと肌の相性がわかる

はじめに、「ALLIE AI Beauty UV」を開発した背景について教えてください。
2020年、私どもの研究所はコロナ禍の影響で人を集めて新しい研究ができない状況にありました。そんな中、過去の日やけ止めの検証データを見返していると、まったく同じ日やけ止めを使用しても、人によって密着感の違いがあることに気づいたのです。
試しに、異なる肌状態での日やけ止めの効果検証を行いました。荒れている肌と健康な肌に同じ日やけ止めを同じ条件で塗布し、日やけ止めを映す特殊なカメラ(UVカメラ)で撮影すると、見え方に違いがあるとわかりました。これにより「肌の状態によって日やけ止めの密着感に差が出る」という事実を発見しました。
「相性の良い日やけ止めを使うことで、美しい仕上がりを目指せる」とお伝えすることで、お客様に日やけ対策をより実感しやすい価値があるものととらえていただけるのではないかと考えました。肌特性ごとにグループ分けし、それぞれ仕上がりが良かった日やけ止めを数値として見える化する。これが、「ALLIE AI Beauty」で提示している、UV肌型と美成膜値のはじまりです。
このサービスで、お客様も一目で自身の肌と商品の相性を理解することができ、日やけ止めを選ぶ際の指標のひとつとなります。紫外線から肌を守るうえで、適切な日やけ止めの選択は非常に重要です。そのお手伝いができると考え、このサービスの提供を決めました。
「UV肌型」の分類基準と、5つのタイプについて教えてください。
「UV肌型」は、肌のキメ、水分・油分バランス、やわらかさをもとに、花王の「Kirei肌AI」によって分類しています。
キメは、肌の表面を表す数値です。この数値が高いほど、凹凸が少なく、肌が均一な状態になります。
水分・油分バランスは、肌の水分と油分のバランスが整っていることを表す数値で、日やけ止めのなじみやすさに関わります。この数値が高いほど水分・油分が同程度あり、日やけ止めがなじみやすい肌ということになります。一方で、数値が低い場合の原因は肌によって異なり、過剰に皮脂が出ている場合と、乾燥している場合などがあります。
やわらかさは、肌の硬さ・やわらかさを表す数値です。この数値が高いほど、日やけ止めをのばしやすい肌状態になります。
「UV肌型」を判定するために使われている「Kirei肌AI」の評価方法はどのような技術でしょうか。
人工知能(AI)技術のひとつである深層学習を用いて、多様で繊細な肌の質感を評価・可視化する「肌評価AI」に、さらにヒトの感性を学習させ、肌の精緻な解析とヒトの視点・判断をあわせ持つ技術です。
ALLIE AI Beauty UVでは、肌の特徴と日やけ止めが肌にもたらす塗膜の均一性を学習した人工知能を用いて、一人ひとりの肌特徴に基づく塗膜の均一性を推定しています。
1 / 2 ページ
この記事をシェアする