かすり織物からデニム製造へ
篠原テキスタイルは創業115年を超える老舗です。まずは、篠原さんが代表になるまでの経緯についてお聞かせください。
私はこの福山の街で生まれ育ちました。弊社が営むデニム工場の隣に実家があり、幼い頃から窓から工場の景色を見ることが日常でした。高校卒業までは福山で過ごし、その後大阪の工業大学に進学。卒業後には「いずれ実家を継ぐのであれば、生地の前工程である糸を学びたい」と思い、大正紡績に就職しました。
この紡績会社は、織物や編み物工場からのオーダーに応じて生地をつくるのに必要な糸を提供するだけでなく、生地、製品まで含めた糸の提案を行う特殊な企業でした。ここでは綿から製品ができるまでの全体的なプロセスを考え、どのような手順で製品を作っていくのかを様々な企業に提案しています。
大正紡績ではいろいろな産地を勉強させてもらい、様々な糸を販売しました。デニムの産地である岡山や広島に加えて、今治のタオル業者や和歌山のニットメーカー、奈良の靴下メーカーなどにも足を運びました。ここにいた7年間、工場の機械メンテナンスから商品開発、営業など多くのことを経験しました。
その後、あらためて篠原テキスタイルに入社し、生地製造の全ての工程を学び、2022年に社長に就任。現在は2人の弟と私を含めて、兄弟3人揃って篠原テキスタイルで活動しています。