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2020.08.21

メタバースと実空間両方でスニーカーヘッズの交流が生まれる?「AGLET」

「AGLET(アグレット)」は、デジタル上でスニーカーを所有できると言うスニーカヘッズの為のゲームアプリである。当ゲームは、メジャーなブランドの定番商品から、限定版のスニーカーまで幅広く取り扱われており、実際に手にすることが困難なスニーカーもゲーム上で所持できる。さらに、Pokemon GOのように外出し、特定のスポットで新たなスニーカーを獲得することもできるというもの。今回、AGLETのCEOであるRyan Mullins(ライアン・ムリンズ)氏にインタビューを行った。

スニーカーファンのためのコミュニティ・ビルディングを目指して

ムリンズ氏を始めとするチームのメンバーが、ゲーム好きであり、その幅はNintendo Switch、Play Station、Oculus、PCゲーム、スマートフォンゲーム等と種類を問わない。さらに、ムリンズ氏は10代の頃からスニーカーヘッズであり、adidasのフューチャー・トレンドの部署でディレクターを務めたこともあるほど。現在自宅には400ペア以上のスニーカーを所持・保管しているという。これまでチームの誰もがゲームデザインやプログラミングを行った事がなく、今回が初。日々様々なゲームをプレーするうちにゲームデザインの世界に魅了されていくうちに、1から開発を行ってみたいと望むようになったそうだ。
開発にあたり、チームのメンバー各々が既存のゲームのリサーチを網羅的に進め、なぜプレーし続けたいと思うのか、なぜ中毒になるのか、といった点を中心に解剖。数々のゲームアプリが毎年公開されるも、ストーリーがフルパッケージ化された状態でのリリースは、一定の年月が経つと人々の関心が逸れてしまうという懸念から、継続的にプレーを続けて貰える仕様を考えたという。
ゲーム内容決定の後押しをしたのが、ムリンズ氏の周囲のコミュニティやミレニアム世代の購買行動が、さも「ゲームをプレーするように思えた」からだと言う。「例えば、スニーカーファンが欲しがるスニーカーには、限定品や数の限りといった制約があり、どうにか手に入れようと躍起になって、様々な手法を駆使しているように見て取れます。そのなかで生まれる新たなソーシャルネットワークが、ゲームの中で生まれる繋がりと似ているように思えたのです。」
そうして生まれたAGLETは、世界中に数多くいるスニーカーヘッズ同士をバーチャル空間だけではなく、現実空間と相互にインタラクション、コミュニティ構築を行っていくという、シンセティックリアリティーの可能性を見据えている。

スニーカーの製品特徴を捉えたゲーム仕様

基本的なゲームの内容は、各プレーヤーが端末設定で位置情報をオンにした上で、自分が好みのスニーカーを選び、1000歩単位での歩数に応じてゲーム内の通貨が付与されるというものだ。通貨が溜まると、ゲーム内で、NIKENEW BALANCEadidas(YEEZY)などのブランドの好みのスニーカーを購入でき、希少なスニーカーは課金のうえ入手できる。各アイテムには、ゲーム製作者からのメッセージとして、製品の詳細や歴史が綴られており、スニーカーファンの心をくすぐる。
スニーカー入手の様子
スニーカー入手の様子
ゲームの特徴として、実際のスニーカーを考慮したスニーカーの製品特性や製品寿命が描かれている事が挙げられる。まず、その時期にショップで購入可能な製品が取り扱われており、頻繁にスニーカーの顔ぶれが変わる。次に、TIER 0 から始まり、TIER 5まで6段階でランク付けされたスニーカーは、入手困難性を踏まえ、ランク付けを示す。例えば、初期段階で手に入るTIER 5のスニーカーは、CONVERSEのCHUCK TAYLORやadidasのSTAN SMITHであり、最上級ランクのTIER 0 は、adidasのFUTURECRAFTやYEEZY750 SIGNED ‘OG’などが含まれる。
さらに、一定の距離を歩き続けるとスニーカーが汚れ、洗浄や修理といった手入れが求められる。これには、ゲーム内で洗浄液の購入や、マップに設定された「Deadstock Station(デッドストック・ステーション)」で新品状態に戻す、もしくは「Repair Station(リペア・ステーション)」で部分的に修理を施すなどの手段を取る事ができる。一方で、修理の回数も細かくスニーカーごとに設定されており、永続的に同じスニーカーを着用し続けることはできない。
左:歩数の閲覧 右:マップでステーションを探す様子
左:歩数の閲覧 右:マップでステーションを探す様子
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#Game
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