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2020.11.04

ファッション業界はDX化に対応できるのか?バーチャルアパレルの可能性とは?

近頃、各分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)化が肌で感じられるようになった。それは、皮肉なことに新型コロナウイルスの流行によって急激に進んでいるのかもしれないが、そもそもDX推進は近年の各ビジネス領域での課題であった。
経済産業省が公開している「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver.1.0(平成30年12月)」によると、「デジタル技術を活用してビジネスをどのように変革するかについての経営戦略や経営者による強いコミットメント、それを実行する上でのマインドセットの変革を含めた企業組織内の仕組みや体制の構築等が不可欠」とされている。
ファッション業界も例外ではなく、新しい生活様式を求められる状況下、DXを推進することによってビジネスを変革することが必要とされている。
今年10月、MARK STYLER株式会社が展開するファッションブランド、jouetie(ジュエティ)は、CG技術を活用したバーチャルアパレルを展開する株式会社GOOD VIBES ONLYと協業を開始した。CGの特性を生かした非現実的なビジュアルを制作するなど、新たな取り組みが消費者を楽しませてくれている。
ファッション業界はこのままDX化の波を乗りこなせるのか?まだまだ実感を伴ってこの潮流を飲み込めていない人もいるかもしれない。そこで、今回は前述したjouetieのバーチャルアパレル化を協業で実現した株式会社GOOD VIBES ONLYの代表取締役社長、野田貴司さんにお話を伺い、バーチャルアパレルの現在と未来について考えてみた。

バーチャルアパレルの第一線を走る、株式会社GOOD VIBES ONLY

サービスの背景には、野田さんの前職でのD2Cアパレルブランド立ち上げからその成長までを見届けてきた経験がある。元アパレルショップ店員を起用し、当時はまだInstagramなどのSNSがメインストリームではなかったなか、模索しながらの挑戦をしていたという。
「売上規模としてはゼロから数十億規模までにブランドは成長したのですが、売上が大きくなればなるほど、ブランドのバリュエーション(価値)が下がるという事態が発生しました。ブランドの売上を生むために在庫がどんどん積み上がっていき、在庫リスクがどんどん増えていったのです。ある意味本末転倒というか、なにか仕組みを根底から変えないといけないと強く思い今の会社を始めました。」
その後、野田さんは2018年に株式会社GOOD VIBES ONLYを設立、自社ブランドでDX化に向けたテストを繰り返し、2020年から試験導入を開始したそう。会社としてはシステム開発に向けた研究開発を行っており、8割がマーケティング出身と新卒1年目の若いメンバーで構成されたD2C事業部と、CG業界出身のクリエイターやAI領域で活躍していたエンジニアがいるDX事業部という体制で事業を行っているという。アパレル出身のメンバーはほとんどいないそうだ。
しかし、そんな体制で多様な領域を包括し事業を自社で一貫して行っていることが、強みになっているようだ。
「今回の(jouetieとの)協業含め、自社で一貫して行っております。3Dサービスによる生産課題の解決など、最近フォーカスされてきており、導入事例も増えております。その中で弊社ではこの技術を生産課題の解決以外に、マーケティングや、プロモーション、クリエイティブの領域でも応用を行い、且つイベントや施策、企画提案なども同時に行いますので、導入ブランド様のクリエイティブの幅を広げブランド様が他社ブランド様と差別化できる提案をできることが、我々が差別化できている強みだと考えてます。」
過去の写真素材からバーチャルアイテムを合成できる。 (ブランド:jouetie、モデル:AMIAYA)
過去の写真素材からバーチャルアイテムを合成できる。 (ブランド:jouetie、モデル:AMIAYA)
jouetieとの協業も、企画、生産、PRまでの全体設計からディレクションを行う役割を担っている。今後の展開についても、企画から3Dサンプル、AI受注予測、生産まですべてをデジタル上で確認できるプラットフォームの開発に向けて動いているそうだ。
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#Sustainability
#3DCG
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