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2020.07.22

データソリューションを活用する「HARAJU Cross JMC_est」から実店舗の新しい価値を考える

EC化が進むなかで、実店舗の役割が見直されつつある。特に新型コロナウイルスの影響を受け、その課題とともに実店舗という場の価値や可能性も感じさせられたことだろう。
そのような状況で、デジタルソリューションを活用した新たなショールーミングスペースが誕生した。株式会社NTTアドと株式会社羽田未来総合研究所が提携し、原宿駅前にオープンした「HARAJU Cross JMC_est」は、顧客データの分析・活用を目的とした実験的な店舗。ここでは一体、どんなテクノロジーが活用されているのか。今回は、株式会社NTTアド クリエイティブ局長・大越祐司さんにインタビューを行った。

デジタル技術を活用する新たなショールーミングスペース

まず、ショールーミングスペース「HARAJU Cross」の概要についてお聞かせください。
このショールーミングスペースについての目的は、リアル店舗とデジタル技術の組み合わせです。こうした形態がアフターコロナの新常態になることを予測し、顧客のデータを分析、活用して商材開発やグローバルな消費者との仮想的なエンゲージメントづくりに取り組む新たな試みとして、6月16日にオープンしました。

この開発自体はいつ頃から始まったのでしょうか?アフターコロナを意識してのオープンということですが、コロナの影響を受けて構想されたのでしょうか?
店舗の構想自体はコロナの前から、正確には昨年の春頃、「WITH HARAJUKU」というビルをNTT都市開発がオープンさせるという話があったので、そこで何ができるかと検討しました。
実際借りられるスペースというのが、10坪とか20坪という広さだったので、普通の店舗というよりはショールーミング的なポップアップスペースをやらないかという話が社内でありました。それから検討を始めて、冬ごろにデジタルのデータを取るような商材を決めました。
WITH HARAJUKUはもともと4月25日にオープンする予定だったのですが、コロナの影響で6月の頭になってしまったので、アフターコロナを考慮してショールーミングスペースのデータ収集を行うことが課題となりました。このような状況を、改めて考慮しながらサービス開発を進めています。

では、羽田未来総合研究所様とはどのような経緯でコラボレーションすることになったのでしょうか?それぞれの役割を教えてください。
弊社は5年前から地方創生、地域活性化に取り組んでいました。「Japan Travel Guide(ジャパントラベルガイド)」というアプリも作り、GPSデータを収集して様々な分析をしていました。羽田空港は日本のおもてなしをして日本の文化を発信している日本のハブです。そこでご縁があって、羽田未来総合研究所様と組んで日本の文化の発信をしていくことになりました。
今回の役割分担としては デジタルのデータ収集や分析を現在は弊社が行っていますが、今後は羽田未来総合研究所様と一緒にやっていこうと考えています。また実際の店舗での飲食であったり、物販だったりのリアルな運営に関しては、羽田未来総合研究所様が得意な部分なので行っていただいています。

データ分析のためのテクノロジー

こういった実験店舗を、日本の魅力を伝えるブランド「JMC_est」から展開した理由は何だったのでしょうか?
数ある選択肢から吟味して選んだというわけではなく、羽田未来総合研究所様と意気投合したという感じです。得意不得意がありますし、弊社が今まで行ってきたのがインバウンドの観光客を中心にした分析でしたので、馴染みのある部分から始めることとなりました。
では店舗には実際、どのようなデジタルソリューションが使われているのかを教えてください。
特別なものではありませんが、カメラが天井に設置されていてピープルカウントを含めて動体が見えるようになっています。3Dセンサーがついており、お客さまの商品に対する動きが読み取れ、興味を分析できるデータが収集できるようになっています。また、タブレットも置いてあります。通常は商品の情報動画を流しているのですが、カメラでもデータを取っており、お客さまの手の動きを取っています。
ただし、カメラの映像はプライバシーや個人情報と様々な問題があるのですが、店内にあるサーバーで全部を1度、特徴点にまとめて、個人情報に付随するようなものは全て削除しクラウドに送っています。そのため、個人情報については心配しなくてもいいように配慮されています。
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#RetailTech
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