Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.02.01

アジアの若年男性がターゲット!資生堂の新ブランドは「相棒」という名の「SIDEKICK」

2022年6月、資生堂から若年男性向けのメンズスキンケアブランド「SIDEKICK(サイドキック)」が誕生した。若年男性向け、さらにアジア市場を意識した商品開発という今までにないプロダクトで、アジア戦略においてはまずEC販路を中心に中国マーケットの開拓に力を入れているという。デビューから半年が過ぎた「SIDEKICK」の現在地 と2023年の展望を伺った。

なぜ若年男性向けか、なぜ中国市場か。開発のプロセスとは?

「若年男性の肌は他の世代にくらべて“ゆらぎやすい”ため、彼らに適したスキンケアが必要です」
そう語るのは、資生堂 経営戦略部 SIDEKICKブランドの藤田 悟氏。肌が「ゆらぐ」とは、季節の変化に対応できず、肌が敏感になった状態。資生堂による肌研究では、男性若年層の肌は他の世代にくらべてゆらぎやすいということが分かり、そこから若年男性に向けたSIDEKICKの開発がスタートした。
「もちろん若い方もスキンケアをされているのですが、そのケアが本当に自分の肌悩みに合ったものか、若年男性の肌の特性に対応できているのか、というところが今回の開発のポイントでした」
開発プロセスでは日本を含め、アジア、欧米の20代〜50代のスキンケア事情を調べた。その中で特に中国の若年男性層に「自分らしさを大切にしたい」「個性を出したい」というインサイトが強く見られ、ブランドはそこに着目した。
「はじめから中国市場を狙っていたわけでなく、マーケティングの結果でした。中国の男性化粧品市場は急成長しており、特に都市部の若年男性はスキンケアへの関心が深く、知識があり、自分の肌に必要なスキンケアを理解しているように感じます。
化粧品の主な購入手段はECなのですが、すでに何を選べばいいかということを分かっています。そこでアジアで支持されるブランドを目指すべく、まずは中国市場のECから、並びに日本市場にも参入しました」
相棒の意味を持つ「SIDEKICK」のロゴマーク。ロゴとその影は2つの書体で構成され、切�っても切り離せない関係「相棒」を表現
相棒の意味を持つ「SIDEKICK」のロゴマーク。ロゴとその影は2つの書体で構成され、切っても切り離せない関係「相棒」を表現

悩み別に5種類も。デビューブランドとしての洗顔料の位置付けは?

SIDEKICKのラインナップは洗顔料(クレンザー)、化粧水、クリーム、シートマスクの4種からなる全8商品。価格は「プレミアム」ゾーンで設定され、高級化粧品とマスの中間を狙っていく。
特に注目したいのが5種類もある洗顔料。SIDEKICKでは洗顔料の位置付けが重要視されているのだという。
「男性も洗顔料の使用率はとても高く、多くの方が使っているのですが、スキンケア商品になると50%程度にまで落ちてしまいます。なので、今お使い頂いている洗顔料からスイッチしてもらう、そしてブランドに興味を持ってもらえたら、スキンケア商品も一緒に使っていただくという戦略を立てています。
ECだとお試しができないこともあり、デビューブランドのスキンケア商品を買うのはハードルが高いと認識しています」
新ブランドの名刺代わりとなる洗顔料は、ブランドへの入口を広くするべく、若年男性の肌に丁寧に対応できる①乾燥、②皮脂、③毛穴、④明るさ、⑤色ムラの肌悩み別の5種類のアイテムが生まれた。
洗顔料「ハイブリッド クレンザー 」、化粧水「ハイブリッド エッセンスイン ローション」、クリーム「ハイブリッド エッセンス イン モイスチャライザー」、シートマスクの「ハイブリッド TU ダブル マスク」で展開。販売価格は税込1,760円~3,080円
洗顔料「ハイブリッド クレンザー 」、化粧水「ハイブリッド エッセンスイン ローション」、クリーム「ハイブリッド エッセンス イン モイスチャライザー」、シートマスクの「ハイブリッド TU ダブル マスク」で展開。販売価格は税込1,760円~3,080円

若年男性にどう届く? 「機能」と「感情」の2つのベネフィット

これまでにないスキンケアとして、SIDEKICKは2つの要素を組み合わせる「ハイブリッド」をコアバリューとしている。機能的な面では「自然由来成分」と「先端テクノロジー」を掛け合わせ、「今ある肌悩みのケア」と「将来起きる肌トラブルを予防する」ハイブリッドスキンケアをうたう。
「男性の肌は抗酸化力やバリア 機能が女性より低く、どの年代の男性も季節の変わり目には肌がゆらぎトラブルが生じやすいのですが、特に若年男性のバリア機能は季節変化にうまく対応しづらい特性があります。
SIDEKICKは『潤いケア』や『くすみ』など現在の肌悩み別に使っていただきながら、バリア機能を強化し、季節の変わり目にもゆらがない肌を目指します」
また感情的なベネフィットをこう分析する。
「若年男性は肌がキレイであることで、たとえば洋服がより似合って見えるなど、自分のスタイルだったり気持ちだったりに肌が強く影響していることを実感しています。トラブルのない素の肌で送る、自分らしく豊かなライフスタイルが、SIDEKICKの提供する体験や価値です」
また若年男性への調査のなかでは、スキンケアをする理由として「自己管理ができている人に見られたい」というものも挙がったのだという。肌がキレイなこと=自己管理ができる人で、すなわち仕事のできる人の証明に繋がることがスキンケアの一つのモチベーションとなっているようだ。
洗顔料とクリームのチューブには金属チューブを採用し、握った跡がその人の個性になる。商品はロゴ入りの紙箱に収めプレミアム感を演出しつつ 環境にも配慮
洗顔料とクリームのチューブには金属チューブを採用し、握った跡がその人の個性になる。商品はロゴ入りの紙箱に収めプレミアム感を演出しつつ 環境にも配慮
1 / 2 ページ
この記事をシェアする