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2023.04.05

SDGsを体験できる新店舗も話題の【ザボディショップ】が天然原料由来のジェンダーレスな化粧品をつくり続ける理由

2023年3月に、イギリス発の自然派ビューティブランド「ザボディショップ」の新宿店がリニューアルオープン。国内で初となる循環型店舗「チェンジメーカーズワークショップストア」として生まれ変わった。
ここ数年「シェアコスメ」や「ヴィーガンコスメ」が美容業界でもトレンドとなっているが、ザボディショップは40年以上前からジェンダーレスで天然原料由来の商品を世に送り続けている。同社PRの園部智子さんにその背景を伺った。

ブランドの背景にある創設者 アニータ・ロディックの理念

ザボディショップのサステナブルなコンセプトは創設者のアニータ・ロディックの数々の経験に由来するのだという。
たとえばその中のひとつが、世界中を旅した経験。国連のILO(国際労働機関)で働いていたこともあり、アニータは世界を回りながら各地に伝わるカカオバターやアロエベラ、ホホバオイルなどの天然素材を使った美容法を目の当たりにし、感動したという。他にも、戦時中に倹約する母親からは、再利用やリサイクル、詰め替えなどを学び、小売業の慣習に疑問を持っていた。結婚した夫が馬でアメリカを縦断する旅に出る間、娘2人を育てるためにこの化粧品ビジネスを思いつき、34歳で起業する。
さらに、幼いころや若いころからの「平等や公平」の精神は、のちに"ビジネスには世界を変える力がある"という理念のもと、フェアトレードや行き過ぎたルッキズムへの反対、化粧品の動物実験反対などのキャンペーン活動へとつながっている。
「ザボディショップはブランド設立当初より、特定の人だけに向けた化粧品を作るのではなく、すべての肌、すべての性別に向けた天然原料を使った化粧品を作り続けています」
まさに昨今の美容トレンドが、ザボディショップに追いついたとも言えるのかもしれない。

男性からも支持されるボディショップのアイテム

ジェンダーインクルーシブな商品展開をする同ブランドは、男性利用者も多い。実際、売り上げ全体の約2割が男性で、エシカルな商品、性別を問わないシンプルなパッケージも人気の秘訣だ。男性の美容リテラシーが増す中で、天然原料由来コスメの需要も増えている。
「あらゆる肌悩みに対応した商品がありますので、その中で男性の方にも多い肌悩みにおすすめの商品もラインナップしています」
右:洗顔、フェイススクラブ、フェイスマスクの3つの方法で使える画期的なスクラブ洗顔料。『3-IN-1 ウォッシュ.スクラブ.マスク TT』125mL 3,410円(税込)、左:環境ダメージに立ち向かうしなやかな肌を目指して作られた、99%自然由来成分の美容液。『EDW コンセントレート セラム』50mL 8,360円(税込)
右:洗顔、フェイススクラブ、フェイスマスクの3つの方法で使える画期的なスクラブ洗顔料。『3-IN-1 ウォッシュ.スクラブ.マスク TT』125mL 3,410円(税込)、左:環境ダメージに立ち向かうしなやかな肌を目指して作られた、99%自然由来成分の美容液。『EDW コンセントレート セラム』50mL 8,360円(税込)
「たとえば、皮脂が分泌しやすいという肌悩みに対応したのがティーツリーシリーズです。天然の浄化作用を持つともいわれるティーツリー由来の成分を配合。洗浄により肌を清浄に保ち、過剰な皮脂分泌によるテカりやベタつき、ニキビなどを防ぎます」
一本で髪と体の両方に使える機能性が人気でジムや旅行などにも便利。『ウェルネス ヘア&ボディウ�ォッシュ ユーカリ&ローズマリー』200mL 2,530円(税込)
一本で髪と体の両方に使える機能性が人気でジムや旅行などにも便利。『ウェルネス ヘア&ボディウォッシュ ユーカリ&ローズマリー』200mL 2,530円(税込)
「こちらは10年以上の歴史のあるシリーズが生まれ変わり、昨年誕生した「エーデルワイス」シリーズです。以前は『DOY』というシリーズ名でしたが、エシカルなコンセプトを強化して『エーデルワイス』として生まれ変わりました。昨年、男性誌のコスメ大賞で美容液部門第1位にも選ばれています。
健やかな日々のために作られた『ウェルネス』シリーズには『休息や眠り』に着目して作られた『SLEEP』、『心と身体の活力』に着目して作られた『BOOST』、呼吸のことに着目して作られた『BREATHE』の3つがあり、『BREATHE』は心と身体の調和を感じたい時におすすめです」

「世の中に変化を!」リニューアル店で体験するサステナビリティ

旗艦店となるザボディショップ新宿店が3月にリニューアルオープンし、『チェンジメーカーズワークショップストア』となった。『チェンジメーカーズワークショップストア』とはザボディショップが世界各国での導入を推進するサステナブルなショップ。
同店は「チェンジメーカー」の名の通り世の中にポジティブな変化を起こすべく、サステナブルなコンセプトで作られている。店内環境には古材や再生プラスチックを活用するなど、ほぼ100%サステナブルなアップサイクルできる素材を使用。日本独自の取り組みとしては、引退した新幹線のアルミをリサイクルしてレジカウンターや什器の一部に利用している。
また「リフィルステーション」ではアルミのボトルとポンプを購入した上で、人気のボディシャンプーやハンドソープをリフィルで買うことができる。新宿店ほか、リフィルステーション設置店舗では、アーティスト、ニキローレケ氏とのコラボレーションしたボトルを数量限定で販売中だ。
さらには「化粧品の動物実験反対」「コミュニティフェアトレード」など多くのキャンペーンを実施してきたザボディショップとともに、来店者も変化の一端を担うべく自分の意見を貼り出せる『チェンジメイキングボード』を設置。こちらは新宿店独自の試みであり、同社では地域社会の声を反映できるよう、国や地域ごとにそれぞれ違う取り組みが行われる。

生活者に広がりつつある、ザボディショップの理念

こうした取り組みや同社の理念は、SDGsの意識が高まる中、生活者が商品を選ぶ上で重要なポイントとなってきている。実際店頭でも、「『ヴィーガン 香水』で調べていたところボディショップにたどりついた」という若い男性客もいたのだとか。
「ヴィーガンコスメ」とは、動物実験を行わず、動物由来成分を使わない化粧品のこと。ハチミツや動物性のコラーゲンを使用することのある「オーガニック」コスメよりも自然派で、世界的トレンドとなっている。
ブランドの名前を知らなくても、プロダクトの背景にあるストーリーを重視する傾向は若い世代を中心に増えている。“商品選び”という個人がすぐにできるアクションからSDGsへの貢献を始め、持続可能な世界へとつながりたいと考える層にとって、ザボディショップの『チェンジメーカーズワークショップストア』はその一歩を踏み出せる体験型の店舗となっている。
PROFILE|プロフィール
園部 智子(そのべ ともこ)

ザボディショップ Brand & Activism PR

2019年より現職。製品PRのほかキャンペーンと呼ばれる社会活動のPRを含めたブランド全体の情報発信を担う。

https://www.the-body-shop.co.jp/shop/


Text by Junichi Suzuki(ALTANA inc.)

#Sustainability
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