2022年3月、サントリーウエルネスがオールインワンスキンケア商品「
VARON(ヴァロン)」とともに、ミドル・シニアの男性化粧品市場に参入して話題となった。
「サントリーがシニア男性化粧品!?」という意外性もさることながら、この「VARON」に含まれる美容成分が“サントリー”という名称から誰もが連想する「ウイスキー」や「ウーロン茶」に関係しているということにも興味を引かれた。
そんな気になる独自開発成分や新たなチャレンジの裏側について、商品企画を担当した西山雅大氏、開発を担当した松岡龍雄氏に話を伺った。
サントリーの加齢研究から発見された2つの成分とは
サントリーの研究開発の歴史は古く、1919年にスタートし、加齢研究に関しても1980年代から40年ほどの歴史を刻む。その中で見出されてきた美容成分は、実にサントリーらしさに溢れている。例えば女性向けエイジング化粧品「
F.A.G.E(エファージュ)」には、ビール作りに必要な酵母や、ワインに含まれるポリフェノール由来の美容成分が配合されている。
そしてもちろんこの「VARON」も、同社らしい独自開発の美容成分を2つ含有。しかもそれらは「VARON」が企画される以前から研究されており、出番待ちをする数多くの美容成分の中からその働きが「ミドル・シニア男性」に適しているということで選ばれたのだという。
このほか「VARON」は、混合肌の皮脂を調整しながら 潤いを与えるイノシトール[3]、肌にハリを与える「アセチルヘキサペプチド-8」[4]など、ミドル・シニア男性の肌にふさわしい成分を配合している。
化粧品メーカーとは違う「VARON」のスタート地点
サントリーウエルネスはすでに健康食品やサプリメントで多くの顧客を持ち、そこから寄せられる声をきっかけに「VARON」は生まれた。「例えばセサミンを購入されているシニアのお客様の多くは“いくつになっても人との繋がりを持って、若々しく豊かに生きたい”と思われています。裏を返すと、年齢に伴う外見の変化によって自信が無くなってきた、それゆえ外出の機会も減り孤独を感じている、そんな潜在的な悩みを抱えているのではないかと我々は感じていたんです。そこから『VARON』の企画がスタートしました」(西山氏)
面白いことに「VARON」は“肌を美しくしたい”というスキンケアニーズだけがスタート地点なわけではない。ミドル・シニア男性の「自信をつけたい」「自分らしく生き生きと人生を送りたい」というインサイトがより強く意識されているようだ。
「VARON」のターゲットであるシニア男性は、美容意識のある若者と違い、手入れを怠ってきた層である。むしろ肌を手入れする概念すらない人も多 い。
「20年、30年もの間、紫外線やヒゲ剃そりからのダメージを受け、ケアのないままの肌はかなり劣化している状態と言えます」(松岡氏)
そんなミドル・シニア男性こそ緊急にケアが必要であるが、そもそも肌をいたわる概念がない人たちに、どうスキンケアを提唱していくのだろうか?
ミドル・シニアに向けたコミュニケーションの工夫とは
「VARON」の開発やコミュニケーションには、スキンケア概念のないターゲット層を意識したいくつかの仕掛けがされている。「オールインワンが採用されたのもその一つです。これまでケアの習慣がなかった人にとって、化粧水、美容液、クリームのステップはたったの3つであっても煩わしいもの。“スキンケア=面倒くさい”という印象を持っていただきたくなかったため、1 本で完結できるよう開発しました」(西山氏)
さらにここにも「W/O/W」というサントリー独自の乳化技術が採用されている。一般的なジェルタイプのオールインワンは水系成分と油系成分をまとめてジェル状に固めただけであるのに対し、『VARON』のオールインワンは化粧水、美容液、クリームの成分がしっかりと分かれている。