2023.07.28

「テニス」と「モッズ」と「ブリットポップ」、イギリスサブカルチャーの歴史は「FRED PERRY（フレッドペリー）」の歴史

月桂樹マークにライン入りのポロシャツ。誰もが知るブランド「FRED PERRY（フレッドペリー）」。そこには歴史とサブカルチャーが詰まっていた。そのルーツを再確認し、いま一度、ここに綴っておきたい。今回はヒットユニオン株式会社 FRED PERRY PRの表谷有子さんにお話を伺った。

「FRED PERRYは1952年にイギリスロンドンで誕生しました。テニスプレイヤーのフレデリック・ジョン・ペリー氏が作ったブランドで彼の愛称からFRED PERRY（フレッドペリー）となりました。

ブランドのお話をする前に、ペリー氏のお話からさせていただきますと、彼は最初、卓球の選手で世界チャンピオンになっているんです。その時点でもすごいことなのですが、その後テニスに転向し、テニスでもチャンピオンになって、世界で初めて四大大会を制し、キャリアグランドスラムを達成したというすごい人物なのです。それは1930年代のことです。

そうして現役選手生活を終えたあと、FRED PERRYをテニスウエアブランドとしてスタートさせましました」

テニスウエアブランド「FRED PERRY」

選手生活を終えたペリー氏がスタートさせたFRED PERRYは、どのように人気ブランドへの道を歩んだのかを振り返っていこう。

「最初はリストバンドからスタートしまして、その後ポロシャツなどが作られ始めるのですが、1950年代当時、テニス用のポロシャツはオーバーサイズ気味のゆるいシルエットのものが主流でした。そこにFRED PERRYが体にフィットしたスタイリッシュなものを作ったのが、ブランドを代表するポロシャツの始まりとされています。

そもそもペリー氏自身がスタイリッシュなテニスプレイヤーとしても知られていたということも、ブランドの人気を後押しする要因になったのではと思います。

トレードマークの月桂樹のワンポイントは、ウィンブルドン選手権の勝者に贈られるリースがモチーフになっていて、大会側に許可をとり作られたものです。その頃のポロシャツは真っ白でFRED PERRYのアイコン的な2本線、私たちは『ティップライン』と呼んでいるのですが、まだティップラインは入っていませんでした。

さらにいえば初期モデルはフロントにVの汗止めを備えた、ボタンのないデザインでした。その後、ボタン付きの前立てやティップライン、カラーバリエーションなど、新しいデザインが加わりました」

「またFRED PERRYはブランドが始まった頃、現役のテニス選手にポロシャツ着せていて、それがテレビで放送されて人気が出たというお話があります。今でいうプロモーションのようなことがすでに行われていた感じですね。リストバンドから始まり、ポロシャツ、レディースのワンピース、Vネックのニット、シューズなど、ラインナップも徐々に増えていきました」

永遠の定番ポロシャツ「The Fred Perry Shirt - M12」

FRED PERRYの代名詞でもあるポロシャツのティップライン。それが入ったきっかけにはおもしろいエピソードがあったようだ。そのエピソードを伺いながら永遠の定番「The Fred Perry Shirt - M12」についてもお話を伺っていこう。

「ポロシャツにティップラインが入ったのは、イングランドのサッカーファンが自分たちの好きなサッカーチームの色のラインを入れたものを作ってほしいと、スポーツショップにオーダーしたことがきっかけとなったといわれています。テニスウェアのポロシャツなのにサッカーファンがきっかけなんだと思うと、ちょっとおもしろい経緯ですね。

このポロシャツは今でもイングランドのストックポートというペリー氏が生まれた街の工場で作られていて、こちらは昔から変わらずスタイリッシュなシルエットのアイテムです。

その他にもシルエットが今っぽくアップデートされていて、ボディが少しスリムで、袖が若干長いM3600と呼ばれるポロシャツもあります。

FRED PERRYのベーシックなポロシャツは2本線、1本線、ライン無しの大きく分けて3タイプあり、今ではポロシャツだけでも定番カラーとシーズンカラー合わせて50色以上、毎シーズンラインナップされています」