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2021.10.01

ビューティー市場におけるインフラ的テクノロジー:パーフェクト社のAR、AI技術

昨今ではビューティー市場においても、EC化などを背景にリテールテックの導入が進んでいる。しかしながら、現在でも店舗での販売の比重が大きいビューティー市場にとって、デジタルツールの導入には課題も多い。
こういった状況において、ビューティー市場でのインフラ的なテクノロジーの提供で注目されるのが、パーフェクト株式会社だ。同社は多くのビューティー企業にAI、AR技術を提供、ECサイトやSNSでの優れた顧客体験の設計を支えている。
多種多様なブランドの要望に応えるサービスの開発は、どのように実現しているのか?今回はパーフェクト株式会社・代表取締役の磯崎順信氏に、サービスの概要から開発ストーリー、ビューティーテックの潮流から展望まで、お話を伺った。
PROFILE|プロフィール
磯崎順信

デジタルメディアテクノロジー関連の外資系ベンチャー企業の日本代表等を経て、2015年にPerfectCorp.の日本法人の立ち上げより現職で参画。バーチャルメイクアプリ「YouCam メイク」をはじめ、AI/ARによる新しい消費者エンゲージメントプラットフォームを多くのブランド・小売店・メディアに向け提供し、エコシステムを確立。

AIからARまで、ビューティに特化した技術を提供

まず、パーフェクト株式会社の概要について、教えてください。
我々は台湾を本部に持つ画像映像処理のPCソフトの会社で、プロシューマー向けにビデオの画像映像の加工、編集、再生などを提供していたサイバーリンクからスピンオフしています。
ビューティーに特化した事業を展開した経緯は、2011〜2013年くらいからモバイルが増えたことによって、モバイル上のサービスがより重要視された背景があります。こういったなかで開発したものが、2014年夏にリリースした女性に特化したセルフィーアプリ「YouCam メイク」でした。このヒットを受けてビューティーに特化した事業体をサイバーリンク内に作ったのですが、これまで対象としてきたユーザーや流通経路とは180度異なるものであったため、2015年に分社化しています。
「YouCam メイク」を基幹アプリとする「YouCam」アプリシリーズは現在、累計9億ダウンロードを突破しています。その後、エンドユーザー向けのアプリとしてだけではなく、アプリの裏のAI、AR技術をSaaSという形でプラットフォームとして展開し、グローバルで350以上のブランドにご利用いただいています。何かしらの形でユーザーがメイクを試す回数が、年間300億回以上という非常に大きなエンゲージメントが作れているプラットフォームです。現在は、AR、AI、ストリーミング、他のプラットフォームとの連携の4つの大きな枠でBtoB展開しています。
現在展開されているサービス概要を、詳しく教えてください。
AIは2018年から本格的にローンチし、パーソナルカラーなどの肌診断、骨格診断などからレコメンデーションを可能にするツールを追加しています。
ARは現在、オンラインのビデオチャットやライブキャストに対しても導入しています。ユーザーはインフルエンサーの紹介を見ながら実際に自分で試してみることができるので、BA(ビューティーアドバイザー)がユーザーにプッシュするような体験を提供することができます。現在は、ヘアカラーやカラコンやアクセ、アイウェアなどのファッション分野も対象とています。
クライアントには「PERFECTビジネスコンソール」というWEBポータルからすべての商品情報を登録していただくと、ARの再現性や色味の微調整が可能となります。一度弊社のWEBポータルにブランドと商品情報を登録してもらえれば、オムニチャネルで弊社のサービス各種が使えます。他のプラットフォームと連携して利用することも可能です。現時点では、弊社のプラットフォームは数十万点の情報を保有しており、様々なタッチポイントで一貫性のある質の高いAI・AR体験を提供しています。
現在では、SNSとの提携も行っていますね。
とあるSNSの企業様では、2019年の試験運用を経て、パーフェクト社のAPIが採用されることが決まり、ARを活用したバーチャルメイク体験をSNS上の商品カタログやAR対応広告、ショッピングなどのサービスと連携させることができるようになります。消費者は、投稿・ショップ・ストーリーなど、さまざまなエントリーポイントでARショッピングを楽しむことができるようになりました。自動化されたS2S(Server-to-Server)のインテグレーションにより実装されている本機能は、数多くのブランドが以前よりも簡単にARコマースを簡単に導入できるよう設計されています。
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#BeautyTech
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