2022.02.09

未来への意志を持って買い物の常識を変えていく「ZAIMA」

コロナ禍以降、環境問題への意識が世界的にも高まってきているように感じる。日本国内でも様々なサステナブルな取り組みが行われるなか、素材開発に着目し、環境に配慮された製品のみを取り扱うECサービスを展開している会社がある。それが株式会社TBMだ。

同社では「LIMEX(ライメックス)」や「CirculeX(サーキュレックス)」といった新素材の開発・製造・販売から、それらの素材や環境に配慮されて作られた他社製品などの製品の販売を扱うECサービス「ZAIMA(ザイマ)」を運営している。今回は株式会社TBMの取締役COO兼ECチームのマネージャーポジションを務める坂本さんにインタビューを行い、サービスの概要や経緯などをお聞きした。

PROFILE|プロフィール
坂本 孝治

株式会社 TBM 取締役 COO
1990年より伊藤忠商事でインターネット事業の立ち上げに関わり、エキサイト株式会社に転籍。
2009年よりヤフージャパン株式会社で、ECや課金サービスの責任者を担った後、2014年にヤフージャパンの北米での100%子会社社長に就任しシリコンバレーで活動。日本のベンチャーが世界に挑戦し、世界市場で活躍する事に、自身も挑戦したいと考え、2016年からTBMの社外取締役、2018年6月から現職。

コロナ禍でマスク販売からスタート

まず「ZAIMA」の概要について教えてください。

「ZAIMA」は素材の環境負荷に着目して、再生材料、カーボンニュートラル、枯渇性リスクの低い環境配慮型の素材を使用した製品を揃えるマーケットプレイスです。2020年11月にサービスを開始し、植物由来素材を使用したタオルや石灰石が主原料の新素材を使った文具や玩具といったオリジナル製品など、自社及びグループ会社の製品を販売してきました。

2021年9月にブランドリニューアルを行いまして、自社及びグループ会社の製品だけでなく、環境に配慮された素材を使用した他社の製品の取り扱い数を増やし、ギフト向けの製品やファッション、ライフスタイルに寄り添った製品ラインアップを拡充しています。

2020年にサービスを開始したときはコロナ禍だったこともあり、マスクの販売から始まったんですよね。

そうですね。時系列としましては、グループ会社のBioworksを子会社化したところから始まりました。Bioworksではファッション業界のサステナビリティ実現に向けて、衣類の素材として代用できるポリ乳酸の開発、製造、販売をしています。ポリ乳酸とは植物由来でできており、原料に石油をほとんど使用しないだけでなく、焼却時の二酸化炭素排出量も抑えることができる素材です。このポリ乳酸を使ってマスクを開発、販売するために開始したECサービスが「ZAIMA」だったのです。

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「ZAIMA」では商品選定をどのように行っているのでしょうか。

再生材料を使用した製品(=アップサイクル)、再生可能資源を使用した製品(=カーボンニュートラル)、枯渇性リスクの低い資源を使用した製品(=石油由来原料のリデュース)の主に3つの軸を満たしている商品を選定して取り扱っております。

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こういった地球環境の配慮に基づく商品をECで展開するうえで、商品情報の伝え方はどのように行われているのでしょうか。

先ほどお伝えした3つの選定軸をサイト利用者にわかりやすいようにマークで記載しています。たとえば「PLAGLAサングラス」の場合だとフレームがアップサイクルのペットボトルで、レンズがカーボンニュートラルの素材を使っており、この2つの選定基準を満たしているので該当するマークがページの右側に載っています。

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商品ページの下の方にはMATERIALという欄を設けており、使用している素材についての説明を載せています。

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さらに、その下のEFFECTという欄では通常のサングラスで使われているプラスチックに比べて、リサイクルペットに置き換えるとどんな効果があるのかというのを記載しています。これはすべての商品ページの素材の説明に合わせて、元々の素材と比較したときに環境にどのようにいい影響があるのかを必ず明記するようにしているのです。

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消費者にとっても環境に関する商品情報のディテールが分かりやすく読めるようになっているんですね。ちなみに、このなかでの人気の商品はどんなものになりますか。

ひとつは「Bio Towel(バイオタオル)」ですね。風合い良いコットンと、弱酸性で抗菌性に優れたポリ乳酸の糸を合わせたタオルで、発売当初から人気の商品となっています。ポリ乳酸はサトウキビ等から抽出した糖を化学結合してできた植物由来のバイオプラスチックで、Bioworksは独自に研究開発した改質剤を合わせることで品質と機能を改良し、ポリ乳酸繊維を開発しました。Bio Towelの特徴は、このポリ乳酸とコットンを独⾃の配合で撚り合わせた糸を使うことで、高い吸水性を実現したところ。優しい肌触りとコットン以上の吸水性が期待できる商品です。

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もうひとつは「Bio series ルームウェア」になります。こちらもポリ乳酸繊維を使用し、合わせるコットンも超長綿とすることで肌触りの良さを追求しました。

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ー多様なECサービスが登場するなかで「ZAIMA」の役割や強みと捉えている部分を教えてください。

ただ買い物をするというだけではなく、その先の環境を考えた買い物体験を楽しんでもらえることが強みとしてあるかと思います。ただ消費され続けるだけでなく、未来への意志を持って「買い物」の常識を変えていく。それがZAIMAの役割だと考えています。

石灰石を主原料とする新素材

貴社ではもともと「LIMEX」などの素材開発も手掛けられていますが、こちらについても概要を教えてください。

「LIMEX」は石灰石を主原料として、プラスチックや紙の代替製品を成形することが可能です。これは日本だけでなく、世界中で深刻となっている気候変動やプラスチック問題に貢献する事ができる素材です。たとえば、一箱100枚入りの名刺の素材を紙からLIMEXにすることで約10リットルの水を守ることになるのです。ほかにもLIMEXはレジ袋の素材としても使われていますし、今は食器容器などにも使われています。今後は日本発の技術として技術およびブランド輸出を行い、 世界で当たり前に使われる素材を目指していきます。

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開発された経緯につきましても教えてください。

弊社の山﨑が台湾からストーンペーパーを輸入し始めたことがきっかけでした。品質に厳しい日本企業に継続的に利用してもらうには品質を上げる必要がありました。けれど、台湾のメーカーは改良をしなかったため、自分で開発をしようと山﨑は決意し、今のTBMがはじまりました。「LIMEX」のほかにも再生材料を50%以上含む「CirculeX」という素材も開発しておりまして、それらの素材を使った製品を販売するために「ZAIMA」をローンチしたこともEC事業開設の背景にあります。

コロナ以降のサステナビリティ

TBM様の視点から、ファッション業界におけるサステナビリティの実現のための課題はどのようなところにあるとお考えでしょうか。

そうですね、(1)大量生産・大量廃棄(2)水資源の消費(3)石油資源の消費(4)動物性素材の利用(5)動物性素材の利用(6)地球温暖化への影響、の6つだと考えています。

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そのうちファッション業界の方はご存知ですが、消費者に意外と知られていないのが水資源の消費ですね。ファッション業界は水資源を最も使う産業のひとつだと言われていますし、加えてCO2の排出量が2番目に多い産業でもあります。つくるときも廃棄するときも地球温暖化への影響が起こっていることが大きな課題ではないでしょうか。

それを踏まえ、コロナ禍の状況下でサステナブルな製品市場はどのように変化するとお考えでしょうか?

今の若い世代の方は、商品やブランドが環境に配慮しているかどうかを気にするようになってきていると感じています。サステナビリティに配慮している商品であれば、少し高くても買いたいという意向が強くなっているなと。コロナ禍になったことで、世界の様々な地域や国でも自然や環境をより大切にしようという動きもありますので、サステナブルな製品市場は今後もさらに拡がっていくと考えています。つくり手や販売側の意識はもちろん、消費者側の意識もサステナビリティの方向に若い世代を中心にどんどん高まっていくと思います。

最後に貴社や「ZAIMA」の展開として、今後注力したいところなど構想があれば教えてください。

ZAIMAとしては、3つの軸でECに参入してもらった商品を引き続きしっかり売っていくこと、その取り組み自体をさらに拡げていろんなお客様に知ってもらうこと、環境に配慮した製品を扱うブランドパートナーの商品を拡げていける場になっていくことを目標として掲げています。近い将来は、製品を使った後の循環ができるような仕組みをすべての商品で実現できるように準備していきたいと思っております。

弊社は昨年、野心的な目標である「TBM Pledge 2030」を策定しています。日本だけでなく海外も含め、2030年までにカーボンネガティブの実現と100万トンのLIMEXとプラスチックを50カ国で循環させることを目標に掲げています。サステナビリティ革命に向けてモノの供給だけでなく、日本発の技術や循環型の価値観や仕組みを通じて“新しいアタリマエ”をつくっていきたいと考えています。

#Sustainability
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