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2023.05.08

150年前から続く想いと最新テクノロジーが融合した、資生堂のDNA検査サービス

資生堂がAI技術を駆使した独自のDNA検査アルゴリズムによって、最適なケア方法を提案する「Beauty DNA Program」を開発した。デジタル化が進む現代社会において、一人ひとりの美をサポートする最新のパーソナライゼーションサービスであり、検査結果を踏まえた肌悩みに対応する美容法を提案する。
生まれ持った肌を知り、美の可能性を広げるプログラムとはどのようなものなのか。資生堂インタラクティブビューティー株式会社でBeauty DNA Programを担当する吉川 拓伸さんと浅井 翔子さんに話を聞いた。

DNAは究極のパーソナライズ

はじめに、Beauty DNA Programの特徴をお聞かせください。
浅井Beauty DNA ProgramではAI技術を用いたDNA検査から生まれ持った肌の特徴を知り、デジタルに特化した美容部員からその情報を基にしたスキンケア方法を提供するサービスとなっております。
検査項目は、「シワやシミのできやすさ/できにくさ」といった個人が生まれ持った肌のタイプを明らかにする「肌体質」、肌老化に関する項目をみる「肌レジリエンス力」、健やかな肌のための「ビタミン調整力」の3つのカテゴリ、合計27項目あります。検査結果から生まれ持った肌の特徴を総合的に理解することができます。
浅井DNAにより得られる肌の先天的特徴の項目数・種類が多いといった技術面が優れているだけでなく、検査結果に基づいた美容アドバイスも提供します。 専門のトレーニングを受けた美容部員がどのようなケアが必要かを説明し、お客様とやり取りしながら一人ひとりに合わせた「美肌プラン」を作成し提供します。このプランを基にお客さまは購入店舗で肌状態を測定し、化粧品を購入するヒントを得ることができます。
目指す未来に向けて中長期的に寄り添いサポートしていくプログラムであること、そしてテクノロジーと人、リアルとデジタルを融合することで、顧客体験を向上させている点が特徴となります。
このサービスが誕生した経緯について教えてください。
吉川当サービスはコロナ禍の時期にリリースされました。自粛生活を通じて、自分自身の肌や体内に対する意識が高まったため、自分自身に向き合って理解を深めたことで、そのニーズに合った商品やサービスが求められるようになったからです。また、ウェルネスという総合的な健康観が注目され、市場も拡大していたため、化粧品だけでなく運動や食事、メンタル面も総合的に考える必要性が高まっていました。
このような市場の変化も捉え、資生堂は「Personal Skin Beauty & Wellness Companyを目指していますが、デジタル戦略としては「Global No.1 Data-Driven Skin Beauty Company」を掲げており、その一環として、Beauty DNA Programの取り組みを進めることになりました。これまで培ってきたDNAの研究成果を生かし、当サービスの開発に着手したというわけです。
DNAは究極のパーソナライズだと考えています。現在の肌状態を把握するツールは数多くありますが、現在の肌状態は、生まれ持った遺伝子とこれまでの行動との組合せで決まります。したがって、たとえば、現在のうるおい度が50点だったとしても、生まれつき保湿力が弱いが、ケアが合っていた人と、逆に、保湿力が強いがケア合ってなかった人とは、意味合いが大きく違います。DNAを調べることで、この差に対応できるのです。
こういった要因を考慮した上で、DNAから先天的な肌の特徴を調べ、機械学習によってパーソナライズ化していきます。
この開発内容では先天的な肌の特徴が分かるので、これからどのようにシミやシワが増えていくかも見ることができます。たとえば、加齢シミュレーションなども技術的には可能ですが、これをご覧になるとお客様にとっては前向きないい体験とはなりません。そのため、実はあえて取り入れていない機能もいくつかあるのです。
他にも、お客様のデータに関しては、当然のことながらお客様の許可が必要になるような仕組みに変えました。お客様の気持ちを考えると、店舗のスタッフなどに自分のデータが全て開示されてしまうというのは良くない体験に繋がると思ったためです。
吉川今、世の中にはさまざまなDNA検査サービスがありますが、主たる価値はカウンセリングや検査内容にあります。しかし、検査のみで終わってしまうとネガティブな結果になってしまうこともあるため、資生堂のサービスではお客様の幸せを願い、提供する価値を考えました。
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#BeautyTech
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