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2024.03.11

指先から広がるポジティブなエネルギー:メナードのネイル研究を探る

ふと手元を見ると、鮮やかに光るネイル。デスクワーク中のタイピングも、書類をめくる指先も、ネイルアートが彩ることで心が軽やかに弾む。
ネイルは単なるファッションアイテムではなく、私たちの心理状態や生体にまで影響を与えることが、日本メナード化粧品株式会社総合研究所で明らかになった。ネイルをすることで、「気持ちをポジティブにさせる効果」と「パソコンのタイピング作業に対する倦怠感やストレスを軽減させる効果」を発見したのだ。
今回は同研究所の森さん、広瀬さん、山本さんにインタビューを実施。研究開発の裏側と、ネイルの魅力について語ってもらった。
PROFILE|プロフィール
森瀨 綾子(もりせ あやこ)

日本メナード化粧品株式会社 総合研究所
研究技術第2部門 技術開発部Ⅱ 皮膚科学第一研究グループ 研究員

PROFILE|プロフィール
広瀬 統(ひろせ おさむ)

日本メナード化粧品株式会社 総合研究所
研究技術第2部門 技術開発部Ⅱ 皮膚科学第一研究グループ 主席研究員

PROFILE|プロフィール
山本 彩子(やまもと あやこ)

日本メナード化粧品株式会社 総合研究所
研究技術第2部門 技術開発部Ⅱ R&D技術情報マネジメントグループ 研究員

ネイルカラーがもたらすポジティブな効果

御社が行った研究では、ネイルカラーが心理状態に与える影響に焦点を当てました。なぜネイルカラーに注目し、研究を実施したのでしょうか?
森瀨一番の理由は、私自身がネイルカラーが好きだからです。
爪をきれいにしたり、好きな色のネイルカラーを塗ったりすることで、気持ちが明るくなり、なんだか前向きになれると昔から実感していました。そう感じている方も多いと思います。
しかし、これまではネイルカラーの心理効果に着目した研究はあまりありませんでした。
そこで、科学的に心理効果を実証することを目的として研究に取り組んだんのです。研究を始めた頃はコロナ禍ということもあり、ステイホームや在宅ワークが取り入れられた時期でしたので、そういった状況でも、簡単に、しかもセルフでも取り入れられるおしゃれとしてネイルカラーに着目しました。
ネイルは身だしなみを整えるためだったり、ファッションの一環だったりという側面もありますが、自分自身のために取り入れる方が多い印象があります。
山本そうですね。たとえば顔の化粧はマナーとして必要とされる場面もありますが、爪の化粧は必須ではありません。そう考えると、やはり基本的には自分の気分を上げるためにネイルをしている方が多いと思います。
研究結果によれば、ネイルカラーの使用で「気分が上がる」「心躍る」といったポジティブな気持ちの変化をもたらすことが確認されました。具体的に作業効率にどのような影響をもたらすと考えていますか?
広瀬ポジティブな気持ちは前向きな姿勢となり、そのような状況で作業に取り組むことはストレスがかかるような作業もあまり苦にならず、効率が上がると考えています。
パソコンのタイピング作業におけるネイルカラーの効果についての検証では、「倦怠感が軽減」し、脳血流の変化が少ないことが確認されました。これが具体的に作業における心理的ストレス軽減にどのように関連していると考えていますか?
広瀬コロナ禍の影響で在宅ワークが増え、パソコンを使う時間が長くなったことを想定して、パソコンでのタイピング作業を負荷として実験を実施しました。
女性10名を対象に、10色のネイルカラーの中から「好きな色のネイルカラー」を選んでもらい、測定者が被験者に塗布。その後パソコンを用いて一定のタイピング作業を行ってもらいました。
作業の前後では多面的感情状態尺度(短縮版)【1】を用いて心理評価を行い、また、前頭前野の脳血流を測定するfNIRS【2】装置を用いて作業中の脳血流の反応を検証しました。その結果、ネイルカラーを使用した場合、作業に対する「倦怠感」が軽減されること、脳血流の変化量が少ない(増加しない)ことが確認されました。
測定の様子(再現)
測定の様子(再現)
広瀬一般的に心理ストレスにより部分的に脳血流が増加することは知られており、今回はこの脳血流の変化を心理ストレスの指標として使用しています。
ネイルカラーを使用しての作業は、ネイルカラーなしでの場合に比べ倦怠感が減少するのと同時に、脳血流の変化が少なかった=ストレスが軽減されたと考えています。
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#BeautyTech
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