ZOZOテクノロジーズが発表したバーチャルヒューマンユニット「Drip」。前回は、このプロジェクトの経緯、コンピュータービジョンの領域を牽引するHao Li氏(Pinscreen)と描くビジョンについての対談を公開した。 今回は、この対談のなかでも言及されていた、他とは異なるバーチャルヒューマンの作成手法というところに注目。ビデオコンテンツでも従来の方法と比べて約半分の制作スピードを実現するという制作手法について、ZOZOテクノロジーズ MATRIXの玉村雄大、池上夕貴の両担当者を取材した。
PROFILE|プロフィール
玉村雄大
IT系メガベンチャーにてゲーム関連の映像制作や3DCG分野の業務に従事した後、2020年にZOZOテクノロジーズに入社。XR / AIチームにて主にバーチャルファッション領域のプロジェクトを推進。メインツールはHoudini, Substance, Zbrush, UE4など。
PROFILE|プロフィール
池上夕貴
アパレルブランドにて企画やパタンナーを経験後、2020年にZOZOテクノロジーズに入社。XR / AIチームにて主にバーチャルファッションのモデリングなどを担当。メインツールはCLO, Marvelous Designer, Substance, Zbrushなど。
1枚の画像ができるまで
投稿画像の制作ではまず、コンテンツの企画内容を決めるところから始まる。バーチャルモデルがどういったポーズをするか、実写背景はどんなものにするか、着用する服装はどんなものにするか、といったことを議論するそうだ。その後に、各領域の専門スキルを持ったアーティスト(モデラー、アニメーター、コンポジターなど)が同時進行で作業していく。①投稿コンテンツの企画
-モデルのポージングや表情
-実写背景
-着用する服や靴、アクセサリー など
②実写背景、HDRI画像の撮影
-バーチャルモデルと合成するための実写背景画像を撮影
-撮影した場所のライティング環境をCGで再現するため、360度画像を同時に撮影しCG環境で扱うためにHDRIというデータに変換
③服や靴、アクセサリーの3Dモデリング制作
-Marvelous DesignerやMayaといった3DCG制作ソフトを使用して制作
-専任の3Dモデラーが製作を担当
④CG(モデル)と実写(背景)合成
現在のバーチャルモデル/インフルエンサーの制作では工数を削減するため、顔だけCGで他は実写を合成するという手法が一般的だが、Dripではモデルは全身がCGで構成されている。このような全身CGのバーチャルモデルの迅速な制作を実現するため、④CG(モデル)と実写(背景)合成のところで採用されている技術に最大の特徴があるという。