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Max Maraから“野茂T”まで! 佐々木久美が愛してやまない「一点もの」の物語

2026.03.19
佐々木久美にとって古着は、ただのファッションアイテムではない。
誰かの時間を経て自分のもとへ巡ってきた服を選び、袖を通すことで、その日の気分や自分自身の輪郭が少しずつ定まっていく——。古着を着るということは彼女にとって、自分自身と向き合う“対話”のような感覚だという。
今回は、佐々木さんが実際に愛用しているお気に入りの私物を手に、その服と出会ったときの記憶や、日常の中での着こなし、そこに託してきた想いを語ってもらった。「服を選ぶ時間」や「“似合う”を探す瞬間」、そして思い出をまとう感覚。その一つひとつを辿りながら、ファッションの奥にある“わたしらしさ”を掘り下げていく。

PROFILE

佐々木久美(ささきくみ)

1996年1月22日、千葉県生まれ。
2016年5月8日、日向坂46の前身である「けやき坂46」(ひらがなけやき)のオーディションに合格し、同グループに加入した。
2018年6月、グループのキャプテンに就任。2023年11月8日にリリースした2ndアルバム『脈打つ感情』のリード曲『君は0から1になれ』ではセンターを務めた。2025年4月6日、グループを卒業。
グループ卒業後はバラエティー番組への出演や、スポーツ番組のMCとしてオリンピックやMLBオールスターへの取材など、個人として幅広く活躍している。

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古着との出会いがくれた、“わたしだけ”の特別感

取材当日、全身古着のスタイリングでスタジオに現れた佐々木さん。シックなジャケットを主役にスカートを合わせた装いは、ミニマルなバランスの中にさりげない「ひと癖」を感じさせるデザインが光り、落ち着きと個性をほどよく両立させている。トレンドに流されるのではなく、自分の感性で選び抜いた一着をさらりと着こなす姿は、彼女らしい凛とした雰囲気によく似合う。
「古着は、人とかぶりにくいところが魅力だと思うんです。同じ服を着ている人に出会うことがほとんどないからこそ、ふと出会った一着が、自然と特別な存在になるんですよね」
私服も古着が多いと話すが、どのようなきっかけで出会ったのだろうか。
「最初に古着を買い始めたのは、大学生の頃でした。まだお仕事もしていなくて、アルバイト代だけでやりくりしていたので、どうしても価格の手頃さに惹かれて。でも、着ていくうちにどんどん面白くなっていって、“古着の奥深さ”にハマっていったんです。既製服にはない独特の雰囲気や、古着だからこそ表現できるお洋服の幅の広さに気づいてからは、いろいろなお店を巡るようになりました」
そんな佐々木さんは、古着を選ぶのもとても速いという。店に入った瞬間、店舗の空気感とアイテムをさっと察知し、あっという間にスタイリングを組み上げてしまう。
「古着屋さんって、お店ごとに空気感が全然違いますよね。このお店は、きっとこういうテイストを大切にしているのかなって考えながら、じゃあ自分ならどんなコーディネートにしようかなと想像するんです。
基本はフィーリングなんですけど、不思議と“これだ”っていうアイテムがピカーッと光る瞬間があって(笑)。でも、古着は出会いだし一点もの。だからこそ、気になるものだけじゃなく、店内の棚は全部見るようにしています。その中で“ピン”ときたものをピックアップして、スタイリングを組むことが多いですね」

一点ものに宿る物語と、センスが光る私物コレクション

スタジオに持ってきてもらった私物も、佐々木さんらしい個性あふれるラインナップだ。Max Maraのジャケットから、ドジャース時代に活躍した野茂英雄選手のTシャツまで、振り幅のあるセレクトの中に佐々木さんの絶妙なバランス感覚が際立つ。
シンプルなブラックのMax Maraのジャケットは、韓国で購入したもの。ヴィンテージのMax Maraの中でもなかなか出会えない一着だ。
「このジャケットは、韓国で人気のエリア・聖水(ソンス)で見つけた一着です。たまたま立ち寄った古着屋さんだったんですが、店内には思わず目移りしてしまうほど好みのアイテムがそろっていて、気づけば夢中になっていました。その中から選んだのが、このジャケットです。
品揃えもとても充実していて、あれこれ迷う時間さえ楽しかったんです。日本の古着屋さんとはまた少し空気感が違っていて、その新鮮さも含めて印象に残っています」
次に見せてくれたのは、中目黒の古着店『CaNARi』で出会ったというレザーパンツ。ひと目で心を掴まれたのは、深みのあるパープルという珍しいカラーだ。ヴィンテージならではのしなやかさがあり、革はほどよく柔らかく体になじみ、穿き心地は驚くほど快適だという。
「パープルのレザー自体が珍しいですよね。既製服ではなかなか見かけない色味なので、まずそこに惹かれました。シルエットは全体的にゆったりしているのに、裾にかけて少しタイトになっていて、さらにウエストがキュッと締まって見えるところも好みです。メリハリがあるので、トップス次第で雰囲気を変えられるのも魅力ですね。スタイリングの幅が広がる一本で、すごく重宝しています。
CaNARiの古着は、きれいめなんだけど、ちゃんと古着らしさもある。そのバランスが両立しているところが好きですね」
下北沢の古着店『CYAN』で購入したというワンピースは、モードな空気をまとった一着。シンプルでありながらどこかエッジが効いていて、袖を通すだけでスタイリングが決まるのだとか。本人も「年中着ている」と語る、お気に入りのアイテムだ。
「このワンピースは、テロっとした素材感とギャザーの入り方が本当に好みなんです。これ一枚でさらっと着ることもありますし、上から羽織として使ったり、真ん中あたりまでボタンを開けてボトムを合わせたりもします。
丈が長めなのでレイヤードもしやすく、コーディネートの幅が広がるんですよね。これはかなりお気に入りで、季節を問わず一年中着ています」
そして、今回持参した私物の中でもひときわ目を引いたのが、かつてドジャースで活躍した野茂英雄の名を冠した“NOMO”Tシャツ。存在感たっぷりの一枚は、当時の熱狂伝わるアイテムだ。
「これは、阿佐ヶ谷にある古着屋『雑踏』で購入しました。野茂選手のTシャツなんですが、なぜかご本人はプリントされていなくて、“トルネード投法”を思わせる写真だけが大きく入っているんです(笑)。そのちょっとズレた感じが面白くて、惹かれました。
日向坂46に在籍していた頃、金村美玖と阿佐ヶ谷で古着巡りをしていたときに見つけた一枚です。夏はこういうインパクトのあるTシャツにアクセサリーをたくさん重ねるのが好きで、サイズもあえてダボっと着たくて。もともと野球が好きなので、見つけた瞬間に“これは激アツだ!”と思って即決しました」
上品なチャイナブラウスは、一見するとチャイナブラウスには見えない、さりげないディテール使いがポイントだ。控えめでありながらほんのりと個性が光り、コーディネートに奥行きを与えてくれる一着だという。
「これは代官山の『SLOW』で購入しました。代官山に行くと、ついふらっと古着屋さんをのぞいちゃうんですけど、こういう白のデザインシャツって意外と見かけなくて。そこに惹かれました。
もともとこういうテイストの服も好きなんですけど、実際に着てみたら、思っていた以上に合わせやすくて。どこかエレガントな雰囲気があり、さらっと羽織るような感覚で着られるところも気に入っています」

大人になって深まる、ヴィンテージとの向き合い方

佐々木さんのスタイリングは、細部にまで抜かりがない。この日身につけていた大きな石のリングも、実はフランス・ニースの蚤の市で購入したものだという。
「サイドがハート型にくり抜かれているデザインがお気に入りです。蚤の市って開催日や時間が限られているじゃないですか。だからこそ、旅先でタイミングよく出会えたときは本当にうれしくて、“運命だな”と思ってしまいます」
まさに上級者ならではの視点で古着を楽しんでいる彼女だが、昔に比べるとアイテムの選び方にも変化が生まれてきたという。
「今はより素材を大切にするようになりました。たとえ古着であっても、自分のクローゼットに迎え入れるなら、きちんと納得したうえで選びたい。ヴィンテージって、新しく生み出されたものではないのに、不思議と“新しい表情”を見せてくれますよね。
私自身もそんなふうに、日々の積み重ねの中から新しい一面を見せられるような生き方ができたらいいなと思っています。これからも、自分の中の“新しいわたし”を見つけていきたいですね」
旅先で出会った一点ものも、日々の装いの中で静かに輝くヴィンテージも、そのすべては佐々木さんが「今の自分」に問いかけながら選び取ってきたもの。
積み重ねの先に、またどんな新しい自分と出会うのか。その変化さえも楽しむように、彼女はこれからも自分らしいスタイルを更新し続けていくだろう。

Photo by Akinori Kawanishi
Text by Tajimax

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