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時代を超えた“レトロ柄”の魅力:名古屋・大須の古着屋「メトロポリタン」のこだわり
自分がそのカルチャーに精通していなくても、偶然出会った古着屋にたまらなく惹かれてしまうということはあるだろう。
古着屋の良さを感じるポイントは人によって異なるが、筆者の場合は、さまざまなアイテムの中に、オーナーが培ってきた経験やカルチャーを垣間見ることに尽きる。名古屋・大須の「メトロポリタン」は、まさにオーナーのこだわりとセンスが光るお店だ。
1960年代~80年代のレディースを中心としたアイテムを取り扱い、主に国内外で仕入れたワンピースやトップス、雑貨は華やかな存在感を放つ。今回は、鮮やかなレトロ柄で多くの人を魅了する、メトロポリタンのオーナー・奥瀬さんにお話を伺った。
鮮やかなミントグリーンが印象的なメトロポリタン

鮮やかなミントグリーンと店内にレトロな柄のアイテムがひしめくメトロポリタン』は、2004年にスタートした。最初は大須の裏門前町通(うらもんぜんちょうどおり)でスタートし 、現在は大須観音の裏通りに移転して店舗を構えている。
「今の場所に移転して5年になります。オープンした頃の大須は、矢場町から上前津方面あたりから徐々に古着が盛り上がってきた感じがありましたね。愛知県で古着屋をやるなら大須しかないと思ったのは、やはり古着やレトロなものが好きな人は大須にそれらを求めてやってくるので、大須でお店をオープンしたいと思いました」
店内に一歩足を踏み入れると、ミントグリーンと鮮やかなレトロ柄の調和に、思わず心がときめく。一見、店内のカラーは奥瀬さんの好みが反映されているのかと思いきや、メインカラーのグリーンは偶然の重なりで決まったという。
「当初は現在のようなグリーンではなく、もっと昭和レトロを基調にしたグリーンでした。お店で使えるインテリアなどを探していたときに、偶然集まったものがレトロ雑貨によくあるようなグリーンだったんです。
あとは、たまたま占い師の方に占ってもらったときに、ラッキーカラーがグリーンと言われたことをふと思い出して、縁を感じたのもありますね。あまり占いは信じない方ですが、メトロポリタンのオープン日も2004年の4月29日の『緑の日(現在は昭和の日)』でどこか運命的なものを感じました」
こうして、メトロポリタンはオープンした。
メトロポリタンのレトロ柄のアイテムは1960年代〜70年代の印象が強いが、次第に80年代のアイテムも増えてきたという。
「僕はその時の感覚で、自分がいいと思うものを選んでいます。80年代のアイテムも、仕入れをしているうちに惹かれるようになりました。
今の店内のミントグリーンも、ちょうど80年代のアイテムが増えてきたときに変えましたね。60年代、70年代のグリーンの雰囲気に80年代のアイテムを入れるとバランスが悪いと思ったので、アールデコのようなミントグリーンにゴールドの什器をポイントに使って、全体的に統一感が出るように変えました」


海外経験やカルチャーが生かされた、奥瀬さんの感性
奥瀬さんはメトロポリタンをオープンする前は、古着屋で働いていた。独立することを目標としてショップ店員を務めるというのはよく聞くが、意外にも、入社前の奥瀬さんはお店を持ちたいとはまったく考えていなかったという。
「僕は大学生のときに本格的に古着を好きになったのですが、当時は無難に就職活動などをしていました。
でも、人生で一度は古着屋で働いてみたいと思い、短期スタッフとして雇ってもらい、社長に声をかけてもらってそのまま社員になりました。
最初は、デザインや自分の感覚を生かした ことをやりたいと思っていたのですが、次第に自分の店を持つということが一番の近道なのではないかと思うようになったんです」
その後、古着屋での勤務を経て1年間の海外調査を開始。最初はパリに住み、残りの半年間はヨーロッパ全域を回ったという。
メトロポリタンのアイテムや店内も含めて、どこか海外のお店のような雰囲気を感じてしまうのは、奥瀬さんの海外で培ってきた経験がおのずと反映されているのかもしれない。
「パリを拠点にイタリアやイギリス、北欧の方まで古着のありそうな主要都市を半年ほどかけて回りました。
僕が海外に行ったのは、現地の古着文化を知りたかったからです。当時はネットの時代ではなかったので、直接出向いていろいろなことを深く学べて、とても刺激になりました」

店内にある1960年代~80年代の幅広い年代のアイテムは、奥瀬さんが影響を受けたカルチャーをどこか感じるのが魅力的だ。
奥瀬さんはDJなどの活動で音楽にも精通しているが、1960年代〜80年代の中で、特に影響を受けたカルチャーはあるのだろうか。
「古いものは全般的に好きですが、特に音楽と服が好きですね。
音楽は60年代、特にフレンチ・ポップのyéyé(イエイエ)が好きで、かわいさやカッコよさの中にちょっと変なところがあるのが魅力です。
好きな音楽の影響を受けたというよりは『かわいいもの』『ちょっと変なもの』『どこか品のあるもの』が好きという、自分の一貫した嗜好がメトロポリタンに強く反映されているのだと思います」
着る人の日常を彩る、レトロ柄の魅力

メトロポリタンに並ぶレトロ柄は奥が深い。
サイケ柄、格子柄、幾何学模様、アールデコ柄、動物柄などと、さまざまな柄が溢れる店内のアイテムは、どれも目が惹かれてしまう。年代ごとで異なる柄や配色、質感をそれぞれ楽しめるのも、メトロポリタンの醍醐味だろう。
また、レディースを中心に揃えているが、メンズアイテムもトップスやアウターと取り扱っており、最近ではなかなか見つからない70年代の柄シャツや、80年代の柄シャツは特にバリエーションが豊富で男女ともに人気アイテムのひとつだ。
レトロ柄というと、コーディネートの難しさを感じて躊躇してしまうかもしれない。そのような場合は、一枚でコーディネートが決まる総柄ワンピースがオススメだという。

「レトロな柄物は、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、ワンピースは一枚でコーディネートが決まるのでおすすめです。メトロポリタンは他の古着屋に比べても、かなり質の良いレトロワンピースが豊富なんです」
昨今の古着ブームで大須の街もさらににぎわいを見せ、連日多くの人が行き交う。移り変わる時代とともに、今後もこれまでのお客さんや次世代とのコミュニケーションを大切にしながらお店を続けていきたいと奥瀬さんは話す。
「ずっとレトロ柄のイメージのお店でやってきて、時代によって変わっていくところもありますが、常に自分の感覚が古くならないようにしたいですね。
たとえば、レトロに対する概念も少しずつ変化していくかもしれないので、そういうなかでもその時代の若い人に自分が何か提案できるようでありたいと思います。少し漠然としていますが、いつも新しい感覚でこれからもお店をやっていきたいと思います」
一度は挑戦してみたいレトロ柄が豊富な大須・メトロポリタン。全国各地からレトロ柄を求めて多くの人が訪れるのは、奥瀬さんのセレクトするアイテムとセンスに信頼を置いているからだろう。
自分に似合うレトロ柄を探している人は、ぜひ一度訪れてみてほしい。個性豊かでストーリーを感じる服に、きっと心を奪われてしまうはずだ。
Text by Tajimax










