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2022.11.08

コスメで人びとの色を取り戻す 「COLOR Again」がアップサイクルを通じて目指すもの

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アパレル業界において大量生産・大量消費が問題となるなかで、コスメ業界でも各社、廃棄に対する施策が打ち出され始めている。トレンドの移り変わりがはやいコスメ業界では、日本企業上位5社からだけで毎年2万トン以上の廃棄がでており、その問題は深刻だ。
また、女性の化粧行為に対する「しないといけないもの」「こうあるべきだ」という社会通念についても最近では疑問のまなざしが投げかけられるようになってきた。
このようなコスメにまつわる社会問題の解決をすべく、2021年より株式会社エフアイシーシー(以下、FICC)株式会社モーンガータ(以下、モーンガータ)が共同推進しているのがCOLOR Again(カラーアゲイン)だ。
今回はFICCの伊藤 真愛美さんと、モーンガータの田中 寿典さんにCOLOR Againの取り組み内容や今後の展開などについてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
伊藤 真愛美
伊藤 真愛美

2017年ブランドマーケティングエージェンシーである株式会社エフアイシーシーに、プロデューサーとして入社。 入社から4年間、美容商材のインフルエンサーやメディアタイアップなどのプロモーション領域に数多く携わる。 2020年にCOLOR Againを社内事業として立ち上げ、責任者として事業構築や展開について力を入れている。 2021年よりマーケティングコンサルチームに配属され、食品メーカーのプロモーション等に関わる。

PROFILE|プロフィール
田中 寿典
田中 寿典

2012年東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻修士課程修了後、株式会社アルビオン(株式会社コー セー 連結子会社)に入社。研究部に配属され、メイクアップ製品の研究開発に従事する。2018年2月同社退 社。2019年9月20日株式会社モーンガータ設立と共にSminkArtブランドを立ち上げ、これまでにテレビ15放映 以上、ラジオ・新聞・雑誌などへの掲載も多数。

コロナ禍をきっかけに発足した、コスメで「内面を彩る」COLOR Again

はじめにCOLOR Again立ち上げの経緯と目的について簡単に教えてください。
伊藤私は広告代理店という立場で、以前化粧品のプロモーションの仕事をしていたのですが、コロナ禍になってリモートワークが続いていた際に、使いきれず期限が切れてしまったコスメを見て「なぜコスメは余ってしまうのか?」「なぜ次々と新作が出るのか?」「単にコスメを売るだけのアクションは正しいのか?」と、様々な視点から自分の仕事に対して疑問を持つようになりました。
元々アートが好きでコスメを捨てずにアートを作れたらと考えている中で、コスメを絵具などの色材へとアップサイクルするモーンガータの技術をメディアで知った私は「この活動が、自身の考える問題解決の糸口になるかもしれない」と考え、すぐに同社の田中さんにコンタクトを取り、意気投合してCOLOR Againが始まりました。
COLOR Againの目的は、単なるコスメのアップサイクルではありません。社会に存在する固定観念や同調圧力によって生きづらさを感じている人々に対して、コスメに本来宿る創造性や、自信を持たせる力で、社会によって色あせてしまった個人の色を取り戻し、一人ひとりの可能性や多様性を尊重し合える社会を目指して活動をしています。
粉末状コスメを水溶性の絵具に変えるモーンガータ社の「magic water」
粉末状コスメを水溶性の絵具に変えるモーンガータ社の「magic water」
「社会によって色あせてしまった個人の色を取り戻す」という目的はどのような経緯で抱いたのでしょうか?
伊藤現在、多様性やジェンダーについてのトピックが日々交わされるなかで、女性の化粧が未だ強いられている現状を、コロナ禍でより感じたのがきっかけです。
化粧は高校生まで禁止されていますが、学生であっても社会で働くようになった途端に化粧をすることが求められる傾向にあります。
特にコロナ禍でのリモートワークにおける「オンライン映えメイク」などのコンテンツを見て、「女性は自宅から会議に参加するときでも化粧をして綺麗でいなければならない」「女性のすっぴんは社会人として恥ずかしいものだ」という社会の空気を改めて感じました。
しかし、化粧をするという行為自体は、究極的には自分の意思によって決められると思うんです。自分の顔をどう見せるかというときに、誰かのためにしたくもない化粧をし続けることは、自尊心を削られると思うんですね。そうすると、自分を大切にできなくなっていくと思います。
だから、化粧をしたくないときにはしない、したいときには自分が最もテンション上がる化粧を自分自身で掴んで楽しんでもらいたいと思うんです。公の場を意識しなければならない時はそれに沿ったメイクをする必要がありますが、それ以外は個人の自由ではないでしょうか。
コスメは外面を装うことや肌を健やかに保つ部分に注目されがちですが、ひとりひとりの内面的な彩りや自信をもたらすこともまたコスメの持つ本来の魅力なのではないか、と考えています。
同調圧力や一般常識などは、考えてみると化粧だけでなく日常のあらゆる場面で感じたり、無意識のうちに価値観として刷り込まれていると思います。一人ひとりの生き方や幸せのカタチが違うのに、一般常識とは違う価値観が理解されずモヤモヤしてしまう。
そんな人たちが、自分の道を歩んでいくキッカケになりたいです。
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