オープンから2年以上が経過するが、現在も営業開始時間の前には行列ができることも。なんとその列に並ぶ人たちの半数以上が、“ある香水”を目当てにしているという。
「『レイジーサンデー モーニング』です。2013年のデビュー以来、毎年、さまざまなベストコスメアワードを受賞しているこの香水は、フレグランスラインの売り上げを半分以上占める世界的なベストセラーです」
そう語るのは、メゾン マルジェラ フレグランスで、コミュニケーション シニア スペシャリストを務める三戸万里奈さんだ 。
PROFILE|プロフィール
三戸 万里奈(みと まりな)
メゾン マルジェラ フレグランス コミュニケーション シニア スペシャリスト
人気カプセルコレクションに着想を得たフレグランスブランド
この香水の魅力を深掘りする前に、「レプリカ」フレグランスについておさらいしておこう。「『レプリカ』フレグランスは、2012年に誕生したメゾン マルジェラの香水ブランドです。名前の由来は、1994年よりスタートした『レプリカ』コレクションから。このコレクションでは、世界中で見出されたヴィンテージの洋服やアクセサリーを再現することを目的としています。
コンセプトは『時や場所を超えて、記憶を再現すること』です。世界各地のシーンを再現した香りが潜在意識に語りかけ、眠っていた記憶やムード、感情を呼び覚まします」
ボトルのデザインも「レプリカ」のスタイルを踏襲している。「レプリカ」のウエアには、機能や生産国、製造年代などが記されたタグが縫い付けられているが、「レプリカ」フレグランスにも、タイトルやテーマとなった場所や年代、香りのモチーフなどが記された布製のラベルが貼られている。
ただし、原料や成分、調香師などに関しての表記はあえて省略されている。これは知識ではなく、あくまで「感覚で選ぶ香水である」という姿勢の表れだ。
さらに「レプリカ」フレグランスのショップでは、棚に並ぶ香水に小さな写真が添えられている。この写真はそれぞれの香りと紐づく“記憶”を可視化したイメージとして、理想の香りにたどり着く手がかりとなる。
花の都・フィレンツェのゆったりとした日曜日の朝がテーマ
現在のラインナップは、ニューヨーク・ブルックリンのバーをイメージした「ジャズクラブ」やモントリオールの森の土や枯れ葉の匂いを感じさせる「オータム バイブス」など全15種類。「レイジーサンデー モーニング」は、その中でも一番人気を誇る香りだ。「イメージされた場所はイタリアのフローレンスで、時間は日曜日の朝。窓からは清々しい朝の光が差し込み、洗いたてのリネンのシーツがなめらかに肌を包み込みます。『いつまでもこのままでいたい』と思うようなフレッシュで、『lazy(ゆったりとした)』なひ とときが再現されています」
ちなみに「フローレンス」とは古くから文化、美術の中心地として栄えたイタリアのフィレンツェのこと。イタリア語で「花の都」を意味する古都は、英語では「フローレンス」と呼ばれる。