NHK大河ドラマ『光る君へ』でもとりあげられた「平安時代」。いまとはまったく異なる社会で、人々はどんな気持ちで服を選び、生きていたのだろうか。
当時の服を実際に復元し、身に着けて生活している「
承香院(じょうこういん)」さんに取材した。平安中期、約1000年前のファッションをデザイン・シルエット・トレンドで見ていこう。
PROFILE|プロフィール

承香院(じょうこういん)
平安時代・周辺文化実践研究家。平安時代の装束の着用や文化を実践しながら独自に研究。平安中期を中心とした装束を縫って着る、様々なものを復元し自作するなど自分の体で体感することでリアルな平安時代中期の姿を日々探求している。著書に『あたらしい平安文化の教科書』(翔泳社)。X:https://x.com/jyoukouin
平安貴族の男女。当時を衣装も含めて追体験する承香院さんの活動。画像出典:『あたらしい平安文化の教科書 平安王朝文学期の文化がビジュアルで楽しくわかる、リアルな暮らしと風俗』著:承香院/出版:翔泳社(2024年)承香院さんは、なぜ平安期に興味を持ったのでしょうか。
むかしの衣装を身に着けるお祭りや儀式などの行事が多く残る地方都市の生まれで、武士が着る裃(かみしも)や鎧、着物などの日本の古い服装全般に興味を持ちました。なかでも驚いたのは、『源氏物語』の舞台にもなっている「平安時代」(794年~12世紀末)の宮廷で暮らす貴族の装束(しょうぞく)でした。
烏帽子(えぼし)や狩衣(かりぎぬ)、いわゆる十二単(じゅうにひとえ)など、いまでは考えられないようなデザインです。すごく派手な色味ですが、不思議と違和感がなく、品も感じられます。
十二単(画像協力:承香院)いまとはファッションの方程式が違うと。
ええ。しかも「仕事着」でもあり「日常着」でもあるのです。この服を着て、どうやって生活していたのだろう? と思いました。そこで、自分なりに情報を集めながら「平安時代」の再現をはじめたんです。