1943年の設立以来、日本のファッション文化を牽引してきた
三陽商会。数々の海外ブランドを日本に紹介してきた総合アパレルメーカーは、コートメーカーとしての顔を持ち、2013年には、その集大成というべき「
100年コート」の生産をスタートした。
このコートは、素材から縫製に至るまで丁寧に作り上げられ、「いいものを永く、大切に使う」という価値を、あらためて僕たちに教えてくれる。
コートとともに歩んできた三陽商会の歴史
今回、お話をうかがったのは、ブランドのMDを務める田中真一さん。まずは三陽商会のコートづくりの歴史から。「三陽商会は太平洋戦争中の1943年に創業者・吉原信之が東京で設立した会社です。当初は砥石商を生業としていましたが、敗戦後にゼロからの再出発を余儀なくされました。そこで創業者は、戦時中の灯火管制に使われた大量の防空暗幕を利用して、紳士用のレインコートを作りました。これが当社のコート第1号です」
その後、女性用のオイルシルク製「レインコート」や、PX(進駐軍家族向け売店)からのオーダーに応えた「ラバーライズ・レインコート」といったヒット作を世に生み出した。
1951年には「サ ンヨーレインコート」を商標登録し、ラジオCMで知名度を高めた。