私たちをアクティブにする夏は、肌にとっては悩み多い季節でもある。メイク崩れや日焼け、毛穴も目立ちやすい。
そうした悩みに革新的な方法で応えるコスメブランドが「
fillwith(フィルウィズ)」だ。肌をくまなくバリアすることでコンディショニングする「膜構造コスメ」として注目を集めている。
ブランドを展開するのは
DIC株式会社。印刷インキ、インキ原料の有機顔料、合成樹脂の一種であるPPSコンパウンドなどで世界トップシェアを持つ総合化学メーカーだ。化学メーカーとはいえ化粧品とは縁が深いと思えない企業が、なぜコスメブランドを生み出したのか?
DICに取材し、その効果・処方、開発のエピソード、ユーザーの反応について聞いた。そこには自然由来の成分を独自処方し、メイクの可能性を最大限に高めようと するDICの素材開発への挑戦があった。
PROFILE|プロフィール
飯山 美香(いいやま みか)
DIC株式会社 新事業統括本部ヘルスケアビジネスユニット
医薬・農薬の研究開発部門を経た後、DICグループの化学物質情報管理を10年以上担当。2020年に新事業統括本部ヘルスケアビジネスユニットに移り、藻類由来成分を利用した新スキンケアブランド「fillwith」を立ち上げる。
PROFILE|プロフィール
若林 孝子(わかばやし たかこ)
DIC株式会社 新事業統括本部ヘルスケアビジネスユニット
新規事業としてスタートした新スキンケアブランド「fillwith」の販売マーケティングを担当。同社で10年以上広報・PRを担当した後、管理会計、新規事業の事業企画を経て現在に至る。
感性を包む「膜」のコスメ
fillwithについて教えてください。
飯山fillwithは「ゆれ動く、肌と気持ちに寄り添う」をコンセプトに据えたスキンケアブランドです。スキンケアは、一日の中で自分と向き合う大切な時間です。その経験をひとりひとりにとってもっとも充実したものにしたいという想いから開発し、2023年にリリースされました。
「Dバリアモイスチャライザー」「スムース・フィックスセラム」「RFカラーコントロールクリーム」「Nラップマスク」の4アイテムをラインナップしています。
それぞれ美しいパッケージですね。アイテムの特長は。
若林「Dバリアモイスチャライザー」は、メイク崩れや乾燥から肌を保護するミスト状ローション。微細なミストで肌の上にヴェールをつくる成分が、外的刺激から肌を守り、メイクを密着させ、メイク崩れを防ぎます。
「スムース・フィックスセラム」はジェル状美容液で、化粧下地としてもお使いいただけます。のびのある弾力感に優れた形状記憶タイプのジェルです。
「RFカラーコントロールクリーム」は、スキンケア効果と肌補正効果を備えたCCクリームです。SPF40/PA+++で紫外線や大気による乾燥から肌を守ります。
「Nラップマスク」は乳化タイプのバーム状美容液。乾燥が進む肌や季節の変わり目で不調を感じやすい肌に潤いを与え、かつ肌から潤いが逃げていくのを防ぎます。睡眠中の集中ケアに優れた美容液マスクです。バー ムは水分量42.7%で、肌の温度でとろけながらのばすことができます。ベルガモットとノバラの2つの香りをご用意しています。
飯山fillwithのアイテムすべてに共通する特長は、肌に密着する膜感テクスチャーです。それは高度に保湿し肌を守るだけではなく、たとえば「スムース・フィックスセラム」は肌の凹凸を均一化し、上に重ねるメイクをより美しく、楽しく目覚めさせます。
見て・触れて・香りを感じるように。私たちはこの体験を「感性スキンケア」という言葉に込めています。
ヒアルロン酸の10倍の保水力を持つ「スイゼンジノリ細胞外多糖体」とは
「膜をつくる」という言葉どおり、肌がつるんとしたテクスチャーで包まれ、メイク崩れを防いでくれるだけでなく、ファンデーションやパウダーのフィット感もアップされるように感じます。主要な成分について教えてください。
飯山すべてのアイテムがパラベン(防腐剤)・エタノール・合成着色料・合成香料を使わないフリー処方であることも特長ですが、fillwithの象徴は「スイゼンジノリ細胞外多糖体」という成分です。
スイゼンジノリは清らかな湧き水に自生する日本固有種の淡水藍藻類 で、「藻」の一種。自らの細胞を守るため、周囲に寒天状のぷるんとした物質をつくります。
藻がつくりだす物質をコスメの「膜」に活用しているということですか。
若林その通りです。「スイゼンジノリ細胞外多糖体」は驚くほど高い保水力を持つことがわかっています。当社と北陸先端科学技術大学院大学の調査では、ヒアルロン酸に比べて「スイゼンジノリ細胞外多糖体」の純水保水力は約5倍、塩水保水力は約10倍という結果が出てきました。皮膚に塗布するとナノの厚さの極めて緻密な膜を形成し、潤いや肌荒れ減少効果もヒアルロン酸を上回っています。