現在放送中の人気アニメ『薬屋のひとりごと』は、古代中国の後宮から着想を得たファンタジー作品だ。
作中には、毒見役の侍女である主人公・猫猫(マオマオ)や、宦官の壬氏(ジンシ)、猫猫が仕える皇帝の妃である玉葉妃(ギョクヨウヒ)など魅力的なキャラクターが多数登場する。そんな彼らが身にまとう宮廷衣装は、古代中国の伝統的な衣装「漢服」をもとにデザインされている。
日本ではあまり知られていない漢服。その歴史的背景や作品での表現へのこだわり、さらに自作する際のポイントについて、
文化学園大学の米井助教に詳しく伺った。
PROFILE|プロフィール
米井 由美(よねい ゆみ)
文化学園大学国際文化学部 助教
首都大学東京[現 東京都立大学]大学院人文科学研究科博士課程満期退学 。上海師範大学に高級進修生として留学。専門は中国近現代文学、女性誌研究。中国モダニズム研究会編『中華生活文化誌――ドラゴン解剖学 竜の生態の巻』(関西学院大学出版会、2018)では、第2章「着る――チャイナドレス、人民服、ファッション」を執筆した。現在、大学では中国語をはじめ、中国文化事情や日中関係論を教えている。
作品の舞台は漢服が花開いた唐の時代
まず、「漢服」とはどんな服なのでしょうか。