海を眺める時間が好きな人も多いだろう。その海に毎年800万トンのプラスチックゴミが流入している。原因のひとつが漁具だ。
漁具へのプラスチック素材の応用は現代漁業に大きな進歩をもたらした。しかし、丈夫で扱いやすいプラスチックは、適切な廃棄を行わないと環境への負荷が高くなる。漁業で生じるゴミをいかに減らしていくか。アップサイクルという手段でひとつの解決策を提案するスタートアップが、宮城県気仙沼市を拠点にする
amu株式会社だ。
amuは代表の加藤広大さんを中心に、気仙沼出身ではない4人により立ち上げられた。同社の取り組みは漁網をアパレルに変えるというもの。創業メンバーのひとりである同社の立元久史さんにお話をうかがった。
「ゴミから資源へ」──漁網 サングラスができるまで
amuがアップサイクル製品の第1弾として今年の3月に発表したのが、マグロ延縄漁に使われるテグス(釣り糸)を原材料としたサングラスだ。漁業従事者から買い取り集めたテグスを洗浄し、専用の機械で破砕。ペレット状にしてから製品へと生まれ変わらせる。
マグロ延縄漁で使用されるテグスこれまで漁網などは、漁業従事者が産業廃棄物として業者にお金を払って引き取ってもらっていた。しかしながら、焼却するにしても塩分や汚れ、多様な素材が複合的に使用されている漁網は、焼却炉に負担がかかった。埋め立てたとしても、プラスチック製品は自然に還るわけではない。