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2023.09.21

超人気厚底カーボンシューズの最新作! アシックス「MAGIC SPEED(マジックスピード)3」の 進化ポイントを徹底解説

アシックスの「META SPEED(メタスピード)」シリーズの機能とデザインを引き継ぎつつ、より多くのランナーが活用できる厚底カーボンシューズとして登場した「MAGIC SPEED(マジックスピード)」。大幅進化を遂げた前作は、推進力と安定性の優れたバランス、コストパフォーマンスの高さから多くのランナーに支持されることとなった。最新作「マジックスピード3」にはどのようなアップデートが施されたのだろうか。株式会社アシックスの大竹博道さんと鈴木利奈さんに話を聞いた。

ミッドソール素材の組み合わせを変更

「自己ベスト達成を目指すレースシューズ、日々のトレーニングで活用できるカーボンプレート搭載シューズ、レベルを問わず厚底のカーボンプレートシューズに興味があるランナーが履けるシューズを目指して開発しました」(鈴木さん)という「マジックスピード 3」。世界中のランナーからのフィードバックを検証したところ、もう少しクッション性、柔らかさがほしいという声があったことから、前作からミッドソール素材の組み合わせが変更された。
ランナーからの評価が高かった前作から、さらにアップデート。マジックスピード 3。16,500円(税込)
ランナーからの評価が高かった前作から、さらにアップデート。マジックスピード 3。16,500円(税込)
「前作はミッドソールのトップに高反発で軽量なFF BLAST PLUS(エフエフ ブラスト プラス)、ボトムには硬さがあって安定感のあるFLYTEFOAM(フライトフォーム)を採用していました。多くのパターンをテストし、たどり着いた組み合わせでしたが、より幅広い層のランナーにフィットする柔らかな履き心地を実現するために、トップ、ボトムともにFF BLAST PLUSを採用することにしました」(大竹さん)
カーボンプレートを挟むミッドソールの上部・下部が、ともに高反発で軽量な素材になったことで弾むようなライド感が得られ、クッション性も向上。また、ミッドソール素材の変更はシューズの軽量化にも貢献している。
ミッドソールが柔らかくなれば、その分ブレやすくもなり、安定性が失われるのではないかと心配するランナーもいるだろう。もちろんその点も配慮され、アップデートが行われている。
「前作よりも踵部の接地面積を大きくし、アウトソールのラバーの面積も内側、踵方向ともに拡大しています」(鈴木さん)
ミッドソールはトップ(赤い部分)もボトム(白い部分)も、高反発な軽量素材FF BLAST PLUSに
ミッドソールはトップ(赤い部分)もボトム(白い部分)も、高反発な軽量素材FF BLAST PLUSに
安定性を確保するため踵部の接地面積が拡大された
安定性を確保するため踵部の接地面積が拡大された

トップレーシングモデルと同様のアッパーに

アッパーはエンジニアードメッシュから、モーションラップアッパーに変更された。モーションラップアッパーは、「メタスピード」シリーズや、サブ4を目指すランナーに向けて開発された「S4(エスフォー)」にも採用されているもの。軽量で通気性に優れているのに加え、伸びると素早く縮むキックバック特性を備えているため、走行時も常に高いフィット感が得られる。
「モーションラップアッパーは、トップアスリートはもちろん、市民ランナーからも好評な素材です。サンプル段階では他の素材を採用したアッパーのシューズも作り、テストランナーに試してもらいましたが、通気性、軽量性、フィット感といったところでモーションラップアッパーの評価が高かったため、マジックスピード 3でも採用することにしました」(大竹さん)
軽量で通気性に優れたモーションラップアッパー
軽量で通気性に優れたモーションラップアッパー
ミッドソール素材、アッパー素材がともに見直されたことで、前作から約20g(※27.0cmの片足重量の比較。前作が約240g、今作が約220g)の軽量化に成功。サブ4を目指すランナーのために作られた「S4」(27cmで約240g)よりも軽いシューズとなった。
フルレングスでカーボンプレートを搭載している点は、前作と同様。プレートの素材や形状も前作を踏襲している。カーボンプレートの役割は安定性と推進力への貢献。着地、蹴り出し時の足の動きを安定させながら、効率よく体が前方向に進むのをサポートしてくれる。高反発なミッドソール素材と組み合わせることで、大きなエネルギーリターンが得られ、重心移動も滑らかに行える。レースで自己ベスト更新を目指すランナーにとって、非常に心強いシューズだと言えるだろう。
フルレングスのカーボンプレートを搭載。形状、素材はマジックスピード2からの変更はない
フルレングスのカーボンプレートを搭載。形状、素材はマジックスピード2からの変更はない
「マジックスピード 2」は、フルレングスのカーボンプレートを搭載したシューズとしては破格とも言えるプライス設定が話題となったが、ミッドソール素材やアッパー素材のアップデートがあったにも関わらず、今回の新作も価格は据え置き。物価高騰の影響もあり、特に今年に入ってからはランニングシューズの価格が上昇傾向にあるなか、このスペックで16,500円(税込)は、かなりお買い得なシューズだと言えるだろう。
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