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2024.07.01

ワークマン「Future TECHレインスーツ」がハイスペックになった予想外の理由

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ワークマンではこれまで数多くのレインウェアを開発してきたが、2024年新たにそのラインナップに加わったのが、ワークマン独自の新素材「Future TECH(フューチャーテック)」を用いたシリーズである。
「Future TECH」は再生ペットボトルを原料に使用、また製造過程で使用した有機溶剤ガスを回収、精製して再利用するなど、「エコ」を強く意識しているにも関わらず、高い透湿防水性を実現させている。
今回は「Future TECHレインスーツ」の開発に携わった株式会社ワークマン製品開発第6部チーフバイヤー羽倉優太朗さんに、ワークマンの公式アンバサダーで、「Future TECHレインスーツ」の共同開発者でもある山田耕史が、開発にまつわるエピソードを伺った。

「雨合羽」が「レインウェア」に変わったきっかけ

山田耕史(以下、山田)ワークマンにおけるレインウェアの歴史を教えてください。
羽倉優太朗(以下、羽倉)今でこそ我々も「レインウェア」というオシャレなネーミングを使っていますが、10年くらい前までは完全に作業向けの「雨合羽」と呼ばれる、ファッション性の欠片もないダボッとしたシルエットの作業服しかありませんでした。
転機となったのが、アウトドアウェアをタウンユースすることが一般的になりつつあった、2015年に発売された「R006」というレインウェアです。「R006」はワークマンが素材から開発した製品なのですが、当時アウトドアブランドでもあまり見かけなかった、ストレッチ素材が用いられています。
羽倉それまでワークマンのレインウェアは1,900円が相場でした。それに比べるとこの「R006」は上下セットで4,900円とかなり高価格だったにも関わらず爆発的に売れたので、レインウェアのアウトドア要素を強めていくきっかけとなりました。
また、ストレッチ素材の特性を利用してシルエットも細身にできたので、ファッション面でも大きく進化を遂げました。
「R006」の大ヒット以降、ワークマンにいらっしゃる客層も変わりました。それまでは当然ワーカーがほとんどでしたが、キャンプやフィッシング、バイクなどのレジャー用にワークマンのレインウェアを求められる方が、かなり増えました。

ファッション性を追求したらハイスペックになってしまった

山田「Future TECH」はどういった経緯で企画されたのですか?
羽倉山田さんと共同開発することで、ワークマンにもタウンユースできる製品が増えました。ですがあるとき、レインウェアでカジュアルに使える製品がないことに気が付きました。つまり、もっとも幅の広いゾーンに向けたレインウェアが存在していなかったのです。
ですので、日常で気軽に着られるファッショナブルなレインウェアをつくろう、というアイディアから出発しました。
レインウェアに用いられる素材の多くはテカリがあり、どうしても安っぽい雰囲気になってしまいますから、いかに生地感をカジュアルウェアに近づけるかがキーポイントとなりました。
山田「Future TECHレインスーツ」は耐水圧30,000mm、透湿度20,000g/m2/24hと、ワークマンのレインウェアのなかでもトップクラスのスペックです。
羽倉まず、素材の表情には徹底的にこだわりました。天然素材の雰囲気を再現するために、短繊維のポリエステルツイル生地を使い、手で触ったときの風合いも追求しています。このように、ファッション性にこだわってつくったのですが、結果的に非常にハイスペックな素材ができあがってしまいました(笑)。
羽倉裏面にはトリコット風の3Dプリントをして立体感を出し、湿度が高いときでもベタつかず、さらっとした肌離れが良い仕上がりにしています。
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