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「Mountain Hardwear(マウンテン ハードウェア)」が10年をかけて開発したテクノロジー「Stretchdown™(ストレッチダウン)」を深掘り

2025.12.25
8,000m峰のような過酷な環境下での行動時も使用できる、耐久性と品質で知られる「Mountain Hardwear(マウンテン ハードウェア)」。1993年、アメリカ・カリフォルニア州バークレーで誕生して以来、数々の革新的なアイテムを生み出してきた、アウトドアウエアのパイオニア的存在である。
そんなMountain Hardwearが開発した、次世代のスタンダードとなるダウンジャケットについて、マウンテンハードウェア(商品本部所属)の近藤 伊織さんに話を伺った。

進化するダウンウエア──保温から“行動するためのダウンジャケット”へ

ダウンジャケットの歴史は、過酷な寒さの中での防寒を主な目的として始まった。2000年代にはファッション性が重視されるようになり、その後は軽量化が進んだ。さらに2010年代に入るとサステナブルな視点も加わり、ダウンウエアを取り巻く環境や用途は変化を続けながら進化している。
そうした流れの中でMountain Hardwearが着手したのは、単に保温するだけではない“行動できるダウンジャケット”の開発だった。
ブランド初期のMountain Hardwearのダウンジャケット

開発に10年を費やした「Stretchdown™(ストレッチダウン)」

一般的に、ストレッチ生地は伸びた際に生地の目が変化するため、ダウンジャケットにストレッチ生地を使用するという発想はこれまでほとんどなかった。
そうした常識にあえて挑戦したMountain Hardwearが開発したのが、「Stretchdown™(ストレッチダウン)」だ。ここからは、その開発背景について詳しく話を聞いていこう。
「従来のダウンジャケットは、ダウンパック[1]に羽毛を詰め、ステッチで区切っていく製法が一般的でした。その場合、ステッチの針穴から雨風が浸入したり、ダウンが抜け出してしまったり、ステッチ構造はストレッチしにくく、動きが制限されてしまうという課題がありました。
近年では、保温性を確保しながらも行動しやすさを重視した『アクティブインサレーション』という考え方が注目されていますが、その考え方もなかったような時期から“行動できるダウンジャケット”を開発したいという思いがあり、Stretchdown™の開発がスタートしたそうです。
従来のステッチ構造からまったく異なるアプローチを採用することで、ダウンジャケットの常識を覆しました。
Stretchdown™は、表地と裏地を特殊な機械で直接織り合わせる独自構造を採用。針穴をなくすことで雨風の侵入やダウン抜けを防ぎ、さらにストレッチ性を損なうことなく羽毛をしっかり封じ込めることに成功しました。
完成までには10年という歳月を要しまして、当社調べではありますが、織りの構造そのものに着目してダウンジャケットを開発した例は、おそらくこれが最初ではないかと考えています」

2つの定番モデル──「Stretchdown™ Hoody」と「Stretchdown™ Jacket」

こうして10年の歳月をかけて開発され、2017年に発売されたStretchdown™のアイテムを2つ紹介していく。ラインナップは、「Stretchdown™ Hoody(ストレッチダウン フーディ)」と「Stretchdown™ Jacket(ストレッチダウン ジャケット)」の2型で構成されている。アウトドアシーンはもちろん、タウンユースにも対応する汎用性の高さが魅力となっている。
Stretchdown™ Hoody 46,200円(税込)
着用イメージ
Stretchdown™ Jacket 44,000円(税込)

Stretchdown™を支えるディテールと構造

ここからは、Stretchdown™のディテールについて、さらに詳しく掘り下げていく。
「一つひとつがブロック状になった個性的なカッティングは『バッフル』と呼ばれており、この互い違いのデザインが動きやすさにつながっています。
また、この互い違いのバッフル構造によって内部のダウンが偏りにくく、従来のようなダウンパックを必要としない仕様になっています。
表地には引き裂きに強いナイロン生地を採用しているため、岩場で擦れるようなクライミングシーンでの使用にも適しているといえるでしょう。
このナイロン素材は撥水性と軽量性を備えており、ダウンには700フィルパワー[2]の『RDSダウン』を使用しています。これは、羽毛の調達過程における動物福祉(アニマルウェルフェア)を保証する国際的な認証基準に基づいたものです」
バッフルと呼ばれる、互い違いのデザイン

2025年登場、Stretchdown™の最新モデル

続いて、2025年に発売されたシリーズ最新作「Stretchdown™ Big Baffle Jacket(ストレッチダウン ビッグ バッフル)」も紹介していく。
「一つひとつのバッフルを大きく設計し、それに伴って封入するダウンも増量したアイテムです。胸元にはチェストポケットを2つ備えた仕様になっています。
シルエットはボックス型のため、アウトドアだけでなくデイリーウエアとしても取り入れやすいデザインに仕上がっています」
Stretchdown™ Big Baffle Jacket 49,500円(税込)
着用イメージ
Mountain Hardwearは、過酷な雪山登山に適したダウンジャケットから、ベストセラーアイテムである「Ghost Whisperer™(ゴースト ウィスパラー)」のように、軽量でコンパクトに収納でき、持ち運びやすいモデルまで幅広く展開している。
そうしたラインナップとはまた異なるアプローチで生み出されたのが、今回紹介してきた「Stretchdown™」シリーズだ。
アウトドアからタウンユースまで高い汎用性を備え、ダウンウエアも用途やスタイルに応じて選べる、多様化の時代を象徴する存在だといえる。

[1]ダウンパックとは、ダウンジャケットの表地から羽毛が出てこないように、内側でダウンを包み込む縫製方法のこと。

[2]フィルパワーとは、ダウンの品質を表す指標であり、数値が大きいほど空気を多く含むため、保温性に優れた良質なダウンといえる。フィルパワーが大きいと、少ない量のダウンでかさ高いダウンを作ることができるため、軽いウエアとなる。

PROFILE

近藤 伊織(こんどう いおり)

株式会社コロンビアスポーツウェアジャパン

マウンテンハードウェア商品本部 アパレルマーチャンダイジング部

ストレッチダウンの快適さに魅了され、街でもアウトドアでも愛用中。寒がりな自分にとって、山でも頼れる一着であり、軽量かつ意外とコンパクトになる点もお気に入り。

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