インドの 伝統工芸"インド刺繍"。インド各地で独自の技法とデザインで発展してきたこの刺繍は、衣類をはじめ装飾品や家具などさまざまなものに施されている。
そんなインド刺繍の魅力を伝えるファッションブランド「
itobanashi(イトバナシ)」。伊達文香さんが代表を務めるこのブランドは、インドの刺繍生地から衣服をつくって販売している。
伊達さんがインド刺繍に魅せられ、起業を決めたきっかけは学生時代に遡るという。itobanashiが誕生するまでの背景にあるストーリーをインタビューで深掘りした。
PROFILE|プロフィール
伊達文香(だてふみか)
CEO、デザイナー
広島大学大学院在学中にitobanashiを設立。2010年より年に2回のペースでインドを訪れ、衣服のデザイン全般を手掛ける。
歴史や文化、人々の暮らしを反映するインド刺繍
まず、インドやインド刺繍との出会いについて教えてください。
2011年の大学1年の頃にインドを訪れたことで、インドと日本の社会的な違いや女性の問題に関心を持つようになりました。その後、学生主導でスタディーツアーを定期的に開催し、貧困や教育格差をテーマに活動しました。その中で、人身売買の被害を受け、違法な売春婦として働かされていた女性たちを支援するための職業訓練を行うNGOと出会いました。
その職業訓練では女性たちに縫い物を教えており、そこでつくられる商品はとても魅力的でしたが、販売することが難しいとの相談を受け、ファッションショーを通じて販売促進や女性たちの達成感を高める機会を提供したいと考えました。