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2019.10.18

心拍数や大気汚染がわかる服、マイクロソフトのKitty Yeungが挑戦するファッションテックとは

昨今、ウェアラブルデバイスやスマートウェアなどが普及し始め、ファッションとテクノロジーの融合が進んでいる。
日本ではANREALAGEなど、最新テクノロジーを使ったコレクションを展開するブランドが注目を集め、海外でもファッション×テクノロジーを推進するブランドやデザイナーは増えつつある。
Microsoftの社内インキュベータープログラムThe Garageで働くKitty Yeungも、テクノロジーを用いたファッションデザイナーだ。今回は、そんな彼女の取り組みや今後の展望について紹介する。
Image Credit : Kitty Yeung
Image Credit : Kitty Yeung

Kitty Yeungとは

Kitty Yeung(以下Kitty)は、MicrosoftのThe Garage・シリコンバレー支社にてマネージャーを務めている女性である。現在、テクノロジーを駆使したファッションアイテムを30着以上デザインしている。
The Garageとは、Microsoftが2009年に開始した、社員が持つアイデアを形にするプログラムだ。自由な発想のもと、実際にモノを作るというもので、既に商品化されたプロジェクトもある。
あまり知られていないが、Microsoftでは、ファッションにも力をいれている。有名なファッション専門学校LCFとコラボをしたり、AIに服をデザインさせたり、NYファッションウィークでロボットを使ってランウェイの支援などをしたりした実績があるのだ。
そんなMicrosoftでマネージャーを務めるKittyは子供の頃からテクノロジーに興味があり、技術を使って社会貢献をしたいという思いがあったという。Kittyは高校卒業後、ケンブリッジ大学で物理を専攻。卒業後もハーバード大学の大学院で研究を続けていた。
Kittyがファッションデザインに興味を持ったのは突然だった。博士号取得中に、デザインに興味を持ちミシンを購入。最初は純粋なデザインをしていたが、徐々に自分の研究分野であるテクノロジーを服のデザインに取り入れていったという。

テクノロジーの可能性を秘めたデザイン

・火山の溶岩を使ったスカート
・心拍数に合わせて光るドレス
・翻訳機能付きの服
・大気汚染指数が高まるとアラームがなる服
・ソーラーパネル搭載のスマホの充電ができるドレス

このような機能の服を、Kittyはサンプル品として数多くデザインをしている。
Image Credit : Kitty Yeung
Image Credit : Kitty Yeung
心拍数に合わせて光るドレスでは、服の内部に小さなスピーカーとマイクロコントローラーを内蔵。温度や心拍数によって様々な色に変化するデザインとなっている。現在、心拍数を測定する製品のほとんどが手首に装着するものであり、違ったアプローチで測定できるような製品を作りたかったという。
他にも、挑戦的なデザインが多く存在する。火山の溶岩を使ったスカートでは、周囲の大気汚染指数を検出するために光煙センサーが搭載されている。汚染が一定レベルに達するとアラームが鳴るような仕組みだ。
このように、Kittyは単にテクノロジーを取り入れるだけでなく、環境問題や健康器具の拡張など、コンセプトや目的を持った作品作りを行なっているのだ。
Image Credit : Kitty Yeung
Image Credit : Kitty Yeung
また、Kittyは服の製作だけでなく、ファッションショーの参加など外部への発信も行なっている。
2016年には、サンフランシスコのファッションウィークに参加。ファッションウィークのテーマは、「Technology leads fashion(テクノロジーがファッションをリードする)」だったが、デザイナーの一人として「Ready to Wear」というショーにも参加している。

Kitty Yeungが考えるファッションテックとは?

Kittyのデザインは、科学、工学、デザイン、芸術など様々な分野が組み合わさっているのが特徴的だ。実際Kittyの興味分野は広く、色々な技術と芸術を組み合わせてイノベーションを生みだしたいと考えているという。
また、単なる興味だけでなく、ファッション産業全体や地球環境のためにもテクノロジーを取り入れたいという思いもあるようだ。
Image Credit : Kitty Yeung
Image Credit : Kitty Yeung
Kittyは、テクノロジー技術やデザインに関するチュートリアルを作成し、それをオープンソースプラットフォームに公開している。誰もがプログラミング、ハードウェアを読み、同様のプロジェクトを行う方法を学べるのだ。
このように、自らの知識や経験を発信しながら、ファッションやテクノロジー産業に貢献したいというKitty。今後、どのような技術を使って新たなイノベーションを生み出し、他者や環境に良い影響を与えていくか、今後も注目していきたい。
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