昨今、ウェアラブルデバイスやスマートウェアなどが普及し始め、ファッションとテクノロジーの融合が進んでいる。
日本では
ANREALAGEなど、
最新テクノロジーを使ったコレクションを展開するブランドが注目を集め、海外でもファッション×テクノロジーを推進するブランドやデザイナーは増えつつある。
Microsoftの社内インキュベータープログラム
The Garageで働く
「Kitty Yeung」も、テクノロジーを用いたファッションデザイナーだ。今回は、そんな彼女の取り組みや今後の展望について紹介する。
Kitty Yeungとは
Kitty Yeung(以下Kitty)は、MicrosoftのThe Garage・シリコンバレー支社にてマネージャーを務めている女性である。現在、テクノロジーを駆使したファッションアイテムを30着以上デザインしている。The Garageとは、Microsoftが2009年に開始した、社員が持つアイデアを形にするプログラムだ。自由な発想のもと、実際にモノを作るというもので、既に商品化されたプロジェクトもある。
そんなMicrosoftでマネージャーを務めるKittyは子供の頃からテクノロジーに興味があり、技術を使って社会貢献をし たいという
思いがあったという。Kittyは高校卒業後、ケンブリッジ大学で物理を専攻。卒業後もハーバード大学の大学院で研究を続けていた。
Kittyがファッションデザインに興味を持ったのは突然だった。博士号取得中に、
デザインに興味を持ちミシンを購入。最初は純粋なデザインをしていたが、徐々に自分の研究分野である
テクノロジーを服のデザインに取り入れていったという。
・火山の溶岩を使ったスカート
・心拍数に合わせて光るドレス
・翻訳機能付きの服
・大気汚染指数が高まるとアラームがなる服
・ソーラーパネル搭載のスマホの充電ができるドレス
このような機能の服を、Kittyはサンプル品として数多くデザインをしている。
心拍数に合わせて光るドレスでは、服の内部に小さなスピーカーとマイクロコントローラーを内蔵。温度や心拍数によって様々な色に変化するデザインとなっている。現在、心拍数を測定する製品のほとんどが手首に装着するものであり、違ったアプローチで測定できるような製品を作りたかったという。
他にも、挑戦的なデザインが多く存在する。火山の溶岩を使ったスカートでは、周囲の大気汚染指数を検出するために光煙センサーが搭載されている。汚染が一定レベルに達するとアラームが鳴るような仕組みだ。
このように、Kittyは単にテクノロジーを取り入れるだけでなく、環境問題や健康器具の拡張など、コンセプトや目的を持った作品作りを行なっているのだ。
また、Kittyは服の製作だけでなく、ファッションショーの参加など外部への発信も行なっている。
2016年には、サンフランシスコのファッションウィークに参加。ファッションウィークのテーマは、「Technology leads fashion(テクノロジーがファッションをリードする)」だったが、デザイナーの一人として「Ready to Wear」というショーにも参加している。
Kitty Yeungが考えるファッションテックとは?
Kittyのデザインは、科学、工学、デザイン、芸術など様々な分野が組み合わさっているのが特徴的だ。実際Kittyの興味分野は広く、色々な技術と芸術を組み合わせてイノベーションを生みだしたいと考えているという。また、単なる興味だけでなく、ファッション産業全体や地球環境のためにもテクノロジーを取り入れたいという思いもあるようだ。
Kittyは、テクノロジー技術やデザインに関するチュートリアルを作成し、それを
オープンソースプラットフォームに公開している。
誰もがプログラミング、ハードウェアを読み、同様のプロジェクトを行う方法を学べるのだ。
このように、自らの知識や経験を発信しながら、ファッションやテクノロジー産業に貢献したいというKitty。今後、どのような技術を使って新たなイノベーションを生み出し、他者や環境に良い影響を与えていくか、今後も注目していきたい。