イタリア・ヴェネト州発のレザーグッズブランド「
NOESI(ノエージ)」を率いるシルヴィア・ザラティンは、「SAINT LAURENT(サンローラン)」や「VERSACE(ヴェルサーチェ)」、「FURLA(フルラ)」など、名だたるメゾンで12年以上のキャリアを積んだ後、故郷へ戻ってブランドを立ち上げた。
ヴェネト州は「創造性に正直でいられる場所」だと語る彼女。NOESIのバッグは、ミニマルで構築的なフォルムと時を超える素材、持ち主の個性に呼応する“余白”が特徴だ。静かな佇まいのなかに芯の強さが宿り、量産・消費を前提としないものづくりの信念が息づく。
生活と創造の調和を求めるシルヴィアの歩みと、NOESIの哲学を紐解く。
PROFILE|プロフィール

シルヴィア・ザラティン(Silvia Zaratin)
出発点は、祖母の裁縫部屋
シルヴィアは、イタリア北部・ヴェネツィア近郊の小さな町で育った。祖母が手を動かしながら布を洋服へと仕立てていくその光景は、幼い彼女にとって、まるで魔法のようだったという。「最初にファッションに魅せられたのは、祖母の裁縫部屋でした。シンプルな布が、形を持ち、意味を持ち、人に寄り添うものへと変わっていく――そのプロセスを見ているだけでワクワクしました」
心惹かれるまま、創造することが幼少期の彼女の遊びになった。やがてその情熱は、洋服からアクセサリー、特にバッグという分野へと絞られていく。