持続可能性や、作り手との“公正な貿易”を意味するフェアトレードなど、アパレルから食品産業まで、生産と消費方法がアップデートされる昨今。子ども服業界においてこの分野をリードするのが、オーガニックコットン100%にこだわるイギリスのライフスタイルブランド「
オーガニック ズー(Organic Zoo) 」だ。
デリケートな赤ちゃんの肌を第一に考え、さらに現代の世界が抱える環境問題への取り組みとして、同ブランドは認定されたフェアトレードサプライヤーのみの原綿を使用し、すべての染料は
OEKO-TEX Standard 100(エコテックス) の認定を原則とする。柔らかい着心地からはもちろん、化学物質を使わない製造プロセス、品質、無駄を省いた梱包など、そのすべてから哲学を感じることができる。
物語の基盤である創設者の幼少期の思い出から、子どもたちが自由に動き回れる安全な子ども服への配慮など、「オーガニック ズー」に込める思いを存分に語ってもらった。
PROFILE|プロフィール
パウリナ・アトキンソン(Paulina Atkinson)
「オーガニック ズー」創設者 ポーランドで3姉妹の次女として生まれ育つ。国が経済的に困窮していた時代だったが、自然に囲まれた環境で、豊かな幼少期を過ごす。母から学んだ精神と幼少期の思い出を着想源に、子どもたちが自由に遊び回れる、美しく実用的でミニマルな高品質の子ども服ブランド「オーガニック ズー」を2014年に創設
ゆっくり、小さく始まった まずは、「オーガニック ズー」を創設するまでのバックグラウンドを教えていただけますか? 私はポーランド北部の大学で経済学を専攻し、卒業後イギリスに移住しました。異文化での生活を通じて、人生の目的を見出せることを期待していました。デザインやファッションを正式に学んだことはありませんでしたが、イギリスに定住後、幸運にもいくつかのクリエイティブな企業で働く機会を得ました。
その中の一つは、「グッチ」「プラダ」「ラルフローレン」など、世界的トップデザイナーのコレクションを扱うファッション企業でした。これが私にとってファッションとビジネスに関わる初めての経験となり、素晴らしい自己発見の旅となりました。この経験を通じて、自分がデザインと販売を好むことに気づきました。
数年後、新製品の調達と開発に携わる新しい職に就きました。この仕事で、私たちが購入する多くの製品が、職業の選択肢がない人々によって生産されている現実を目の当たりにしました。「オーガニック ズー」のアイディアはこのときに生まれました。私は、より良い方法で素晴らしい製品を作れるかどうか、挑戦してみたかったのです。
現在、私たちのコレクションはすべて、倫理的な基準を満たしたパートナーによってヨーロッパで誇りを持って生産されています。
「オーガニック ズー」のコンセプトの背景にある、パウリナさんのもっとも印象深い幼少期の思い出とは? 幼少期は、クリエイティブで機知に富み、自然とつながることを愛しながら、少ないものでより軽やかで幸せな生活を送ってきました。家計はとても苦しく、食料品や生活必需品を買うために何時間も列に並び、クーポンを持って母の手を握って待っていたのを覚えています。買えるおもちゃはほとんどなかったので、代 わりにごっこ遊びをして、頭の中にゲームや物語、場所を作りました。夏は湖畔のロッジで過ごし、森は私たち姉妹の遊び場となり、泳ぐことや、木の棒で作った釣り竿で魚を釣ることを学びました。シンプルさの中に美しさを見出すように育ててくれた母の教えにより、物質的には何も持っていないのに、心の豊かさを感じながら成長したのです。
こうした価値観と家族との幼少期の思い出が、「オーガニック ズー」のすべてのコレクションのインスピレーションとなっています。
「オーガニック ズー」を立ち上げた最大の動機は? 若い頃から、あまり形式にとらわれたり、重圧を感じたりすることはなく、自分のやり方でやらせてもらえたときが一番幸せだと感じていました。人によっては、これは反抗的に見えたかもしれません。しかし、私にとっては、自分の創造性に従順であることを意味しています。これは今でも変わりません。そのため、キャリアの初期に、自分のビジネスを持つことに伴う自由こそが、自分が望んでいることだと気づきました。「オーガニック ズー」は、一夜にして成功したわけではありません。繊維やファッションの経験がまったくない状態で、ゆっくりと小さく始めました。今日に至るまで10年、学習と努力を続けてきました。。もちろん現在も、学習と努力を続けながら、日本や世界中のコミュニティから、自信と経験、そしてサポートを得て、前進し続けています。