11月2日、浅草で「背広散歩」というユニークなイベントが開催された。スーツを身にまとい街を歩くこのイベントは、スーツという言葉から想像するような格式高い雰囲気とは一線を画している。参加する人たちは皆、自慢の着こなしを披露しつつ、ファッション談義に花を咲かせながら、楽しいひとときを過ごしていた。 今回、主催者のひとりである安武俊宏さんに取材を行い、ご自身がスーツに惹かれるようになった背景を掘り下げつつ、「背広散歩」を開催するに至った経緯やその目的についてお聞きした。そこにはファッションを楽しみ、業界を盛り上げていきたいという熱い思いが隠されていた。
PROFILE|プロフィール
安武 俊宏(やすたけ としひろ)
アパレル勤務
福岡生まれ札幌育ち。文化服装学院卒業後、2005年にアパレル企業へ入社。販売員→プレス→販促分野を統括するプレスチーフを経て、3月からオウンドメディアの責任者として指揮を執る。メンズドレスをベースとしながらも自由度のあるミックススタイルは世界から注目され、海外書籍に数ページにわたって特集されたことも。3度の飯よりおしゃれな洋服や雑貨、インテリアが大好き。嫌いな食べ物は“エビ”。Instagram
スーツに魅了され、メンズドレスの世界へ
まずは、安武さんのスーツとの出合いを教えてください。どういった経緯でスーツに興味を持たれたのですか。
文化服装学院の同級生の影響です。1年生にしては珍しく靴磨きが趣味という2つ年上の同級生がいまして、彼と仲良くなったことでドレス系の雑誌を読み始めました。革靴とベルトの色を合わせなくてはダメとか、このシャツにはこのネクタイを合わせて、結び 方はこれでといった細かい作法が書かれていましたね。それを読んだときに、自分の感覚だけではなく作法も覚えれば、おしゃれに磨きがかかるんじゃないかと思い、のめり込んでいきました。