Fashion Tech News symbol
Fashion Tech News logo
2023.06.28

快適さと手頃さを追求:ユニクロのエアリズム吸水サニタリーショーツ

ナプキン、タンポン、ピルだけでなく、吸水ショーツ、月経カップ、月経ディスクなど選択肢が増えてきた昨今。より快適にいつもと変わらない日常を過ごすために、できるだけ快適なツールを取り入れたいと感じている人も多いだろう。
そんななか、ユニクロが販売するエアリズム吸水サニタリーショーツ(以下、吸水ショーツ)が話題を呼んでいる。2020年の秋に発売したユニクロ初の吸水ショーツは快適に過ごせる上に、2,000円以下という手頃な価格で提供されている。
新たな選択肢として、この吸水ショーツを取り入れる人も増えているはず。今回はそんな吸水ショーツの生みの親である、株式会社ユニクロのグローバル商品本部ウィメンズMD部長の炬口さんにインタビューを実施。吸水ショーツ発売に至る背景に迫った。
PROFILE|プロフィール
炬口 佳乃子(たけのくち かのこ)
炬口 佳乃子(たけのくち かのこ)

株式会社ユニクロ グローバル商品本部ウィメンズMD部部長
1996年にユニクロへ入社。ロンドンの店舗オープンなどに携わったのち一旦退社。2006年に再びユニクロに戻り、カットソー、シャツなどのMDを歴任。現在は、ウィメンズインナーや「エアリズムマスク」、世界的にブームを巻き起こした「ラウンドミニショルダーバッグ」の開発を担当。

吸水ショーツのファーストステップとして

まず、ユニクロで吸水ショーツに着目された背景についてお聞かせください。
そもそも、吸水ショーツ自体が世の中に出始めたのは10年以上前になります。当時、吸水ショーツは日本ではまだ馴染みのない商品ではありましたが、海外市場ではそのような商品が増えていました。
そんななか、ユニクロの欧米チームのスタッフたちから「ユニクロでも吸水ショーツを発売すれば成功する可能性があるのではないか」という声が上がりました。
そこで近い将来、このような商品が日本を含めて世界的に広まる可能性があると考え、ユニクロでも作ってみることにしました。市場の拡大や需要の高まりなどの可能性を考えた上で、試作を始めたというのが最初のきっかけです。
私たち自身が考えている以上に、吸水ショーツはこれから広がっていく商品なのかもしれないと感じ、商品化に向けて取り組むことにしたのです。
その後、吸水ショーツが国内でも注目され始めていた2020年の9月にユニクロでも販売を開始しましたが、消費者に受け入れられたのは、販売タイミングがニーズの高まりにばっちり合ったことが要因としてあると考えています。
もし10年前にこの商品を出していたら、売れたかどうかは正直わかりません。当時は吸水ショーツの認知がまだ低い段階でしたので、新しいものを世に送り出すタイミングは非常に重要だと思います。日本ではお客様のニーズや関心が高まるタイミングで商品を発売できたと思っています。
発売当初の反響はいかがでしたか。
多くの反響をいただきましたね。私たちも最初はお客様が商品を受け入れてくれるのか不安でしたが、吸水ショーツを気になっている人が想像以上に多いことを実感しました。
この商品を販売し始めたとき、私も含めて商品開発のチーム全員が銀座店の売り場でお客様を接客し、話を聞きました。他社の吸水ショーツを使っていたため、ユニクロの吸水ショーツも購入してみようと足を運んでくださった方もいましたが、今まで聞いたことがあっても購入には至らず、ユニクロが発売したから試しに買ってみようと思われたお客様が大半でした。
ユニクロが吸水ショーツを発売することで、気になりつつも一歩踏み出せずにいた方に対して、アプローチできたのではないかと感じました。
普段ユニクロで買い物される方にとっては、吸水ショーツのファーストステップとして取り入れやすいですよね。
そうですね。ユニクロの店舗は全国にあります。そのすべての店舗で吸水ショーツが販売されたことで、購入ハードルが下がったと思います。
吸水ショーツというものが世に出始めた頃は、一般的に吸水ショーツを取り扱う店舗や通販も少なく、購入する機会が限られていました。
東京などではポップアップショップが設けられたことはありますが、それでも実物を手に取って見る機会は少なく、実際に使っている人もあまりいない商品であるため、使用感などの情報も少なく、なかなか手が出せない状況でした。
そういったさまざまな要因で、気になるけど、聞いたことはあるけど、取り入れることを躊躇してしまう、という人が多かったのではないかと思います。
1 / 4 ページ
この記事をシェアする