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2023.10.27

VRのファッションリーダーが集まる「kaihen」と考える 新しいカルチャーとビジネス

リアルクローズ、サイバー、コスプレ...さまざまな美意識が独自進化しているVRファッション。
そのカオティックな状況を伝えるファッションメディアが生まれ始めている。「kaihen(カイヘン)」。現実以上に自由自在なアバターファッションを一望できる投稿型プラットフォームとして、2023年6月にリリースされた新しいサービスだ。
本記事では運営会社・株式会社VのAlice CEOに話を聞いた。同社はメタバース事業立ち上げ支援を主業とし、VRに精通する。kaihenを通じて見えるユーザーの興味、見事なスタイリング、さらにシーンの動向とは?
アバターを纏ったファッションリーダーたちはどんな未来を見せてくれるのだろうか。
PROFILE|プロフィール
株式会社V 代表取締役兼CEO Alice(アリス)
株式会社V 代表取締役兼CEO Alice(アリス)

AIレシピ提案アプリを開発するスタートアップを共同創業。その後、事業会社に入社し即時買い取りアプリや後払い旅行アプリなどのコンシューマ向けサービスの新規事業の立ち上げを担当したのち、2019年に株式会社Vを設立。アパレルブランドやアニメIPのメタバース上の商品製作/販売を行うコマース事業を展開中。

バーチャルファッションの素地

「kaihen」のサービス内容は。
kaihenはVRChatのユーザーがアバターを自分なりにカスタムする「アバター改変」を投稿できるプラットフォームです。無料でアカウントを作成し、オリジナルのアバターやコーディネートを共有できます。「いいね」やSNSシェア機能を備えたシンプルな設計ですが、大きな特徴は使用アバターやファッションブランドをリンクすることで、直接商品ページを見に行ったりアイテムを通じた交流ができたりすることです。
model:SEKAI
model:SEKAI
立ち上げの経緯は。
kaihenは2023年6月にリリースしました。具体的な構想は同年3月ごろからでしたが、私たちがVRファッションに注目し始めたのは2021年ごろです。
model:sasakama
model:sasakama
2020年より前にも「改変」カルチャーはありましたが、ここ2年ほどでファッションブランドが急増し、トレンドらしきものが見えてきました。
また徐々に女性ユーザーが増え、男性ユーザーが異性のアバターを纏うだけでなく、女の子が女の子の姿でメタバースを楽しみ始めています。今のうちにバーチャルファッションの素地を作るサービスを立ち上げておきたいと考えました。
投稿はバリエーション豊富で、ストリートスナップや「WEAR」を眺めるような楽しみがあります。
model:HAYASI_TW
model:HAYASI_TW
とても興味深いですよね。バーチャルファッションはユーザー個人がSNSで発信したり、ファッションイベントでランウェイを見せるように発表されたりしてきました。どちらも発信する側の意図や趣味が反映されていて魅力的ですが、こうしてkaihenという場にファッションの切り口で改変が集まることで、気づかされるトレンドも多くあります。
どのような発見がありますか。
model:あばれんぼー
model:あばれんぼー
1つは、明らかにリアルトレンドと連動しているということです。
メタバースは現実時間の制約を受けないはずなのに、kaihenに集まるコーデには「季節感」があります。昨夏にはサマーコーデだけの特集を組めるほどでした。
model:ことね
model:ことね
もう1つはコーデ単体を楽しむだけでなく、ロケーションと結びついている写真が多いこと。VRChatのワールド自体がめちゃくちゃ「映える」ので、場所に合わせたコーデが生まれ、写真全体でシーンと世界観を伝えようとしているものが多く見られます。
他にも多くの発見がありますが、今後のメタバースとファッションを考えるうえで重要な視点です。
kaihenの今後の展開は。
現在のところkaihen単体でのマネタイズは考えていません。あくまでアバターファッションを盛り上げたいという意図で運営していますから。
model:JONER
model:JONER
これから期待していることは、ユーザーが増えてその中からファッションリーダーが生まれることです。
既存メディアで言えば雑誌の「読者モデル」のような影響力のあるユーザーが出てきてほしいと。その一方で、私たちがカメラマンのようなポジションで優れたコーディネートを発掘していくこともできたら良いと考えています。
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