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2024.04.30

1万円台前半で撥水・防風機能を完備 マーモット「GJジャケット」の実力

身の回りのあらゆるものの価格が高騰している今日、洋服だって例外ではない。アウトドアの定番アウターも総じて値上がりの傾向にあり、高機能モデルだと10万円近くするものもある。
ただ、シェルはいまや、フィールドだけでなく、街中で着るデイリーウエアだ。正直なところ、普段使いするならそこまでの本格スペックは必要ないが、基本的な機能やブランド力、デザイン性は譲れない。そう考えたとき、1万円台前半で購入できるマーモットの「GJジャケット」はまばゆい輝きを放つ。
「GJジャケット」の真の魅力を知るべく、今回はマーモット ジャパンでマーケティングを担当する大山ヨシアキさんにお話をうかがった。
PROFILE|プロフィール
大山 ヨシアキ(おおやま よしあき)
大山 ヨシアキ(おおやま よしあき)

マーモット ジャパン マーケティング担当
山口県出身。映像制作やレコードレーベル、ファッションブランドでの経験を活かし、現在はマーモットをはじめ、スポーツやアウトドアブランドのマーケティングを担当。

ゴアテックスが使用された最初のアウトドアウエア

「マーモットは、1971年に、当時カリフォルニア大学に通っていた2人の学生、エリック・レイノルズ氏とデイヴ・ハントリー氏が立ち上げたアウトドアブランドです。ブランド名の由来は2人が立ち上げた登山部、マーモットクラブから。最初は大学の寮でダウンウエアやスリーピングバッグを製作していましたが、1974年にコロラド州で、アウトドア用品の小売店であるマーモット マウンテン ワークスを設立しました」
小さなガレージブランドは、いかにして発展を遂げたのだろうか。
「設立メンバーのひとりが、ハリウッド映画のプロデューサーから、『1週間で108着のダウンジャケットを作ってほしい』と依頼されたのです。マーモットは無事にミッションをやりとげ、そのダウンジャケットはクリント・イーストウッド主演の映画『アイガー・サンクション』に使用されました。このことは当時ブランドの知名度を高めるのに貢献したそうです」
ある素材との出合いも、ブランドの運命を大きく変えた。
「ゴアテックスです。今でこそ機能素材の代名詞として広く認知されているゴアテックスですが、1970年代の中頃はまだほとんど知られていませんでした。そんななか、マーモットはこの素材の機能性にいち早く注目し、スリーピングバッグやウエアなどにゴアテックスを使ったアイテムを次々と発表しました。そのひとつが、マーモットの誇る定番シェルジャケット『オールウェザーパーカ』でした。このモデルはゴアテックスが使用された最初のアウトドアウエアといわれています」
「オールウェザーパーカ」の現行モデル。デビュー当時のディテールを忠実に再現しつつ、シルエットは現代的にアップデート。3色展開。35,200円(税込)
「オールウェザーパーカ」の現行モデル。デビュー当時のディテールを忠実に再現しつつ、シルエットは現代的にアップデート。3色展開。35,200円(税込)
余談だが、「オールウェザーパーカ」は、1980年代にアメリカ軍が使用し始めた「ECWCS(Extended Cold Weather Clothing System/拡張式寒冷地被服システム)」の「GEN1 ゴアテックスパーカ」とうりふたつ。ヴィンテージ市場でも絶大な人気を誇るこのパーカは、「オールウェザーパーカ」をヒントにして生まれたといわれている。
つまり、マーモットのシェルといえば、アウトドアの歴史に足跡を残す名品なのだ。
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