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2023.07.21

【日本を代表するサッカーGK対談】 山下杏也加選手(INAC神戸レオネッサ)×西川周作選手(浦和レッズ) GKが道具に求める機能性とは

ゴールを守る最後の砦。サッカーにおいて手でボールを扱える唯一の存在であり、非常に特殊なポジションであるゴールキーパー。他のフィールドプレーヤーと比較すると、求められる資質、必要な能力もかなり異なるからこそ、道具に求める機能も個性的であるはずだ。
近年は、戦術の進化もあり、足元の高い技術も不可欠なゴールキーパーだが、トップレベルの選手たちは、スパイクやグローブに何を求めているのだろうか。INAC(アイナック)神戸レオネッサ所属で女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)の山下杏也加選手と、浦和レッズ所属で男子サッカー元日本代表の西川周作選手の対談から探っていこう。
日本を代表するゴールキーパー2人による対談。左:西川周作選手、右:山下杏也加選手
日本を代表するゴールキーパー2人による対談。左:西川周作選手、右:山下杏也加選手
西川周作(以下、西川)はじめまして。今日はよろしくお願いします! 去年の話になりますが、WEリーグの初代MVP、凄いですよね。ゴールキーパーの価値を高めてくれてありがとうございます。僕もMVPには憧れがありますし、現役中は目指してやっていきたいと思っています。
山下杏也加(以下、山下)ありがとうございます! 西川選手のキック精度、シュートストップには本当に憧れていて。間近で見る機会がある、浦和レッズレディースの選手たちが羨ましいなと思っていたんです。世界の舞台で戦うとき、高いボールを蹴ると体格の差もあって、前の選手たちが競り合いで勝てないことがあります。西川選手のような、低い弾道で速いボールを前線にフィードできるようになりたいですね。高いパフォーマンスやモチベーションを長く維持するコツを伺ってもいいですか?
西川僕の場合、日本代表に選ばれたいというのが今でもモチベーションに繋がっていますね。しばらく代表を外れていますし、今年37歳になったんですが、年齢を理由にするのは嫌で。ゴールキーパーとしてはまだまだ脂が乗っている時期だと思っていますし、経験値も増えています。なので、日本代表でまだまだやれるっていうのを見せたいという気持ちがあります。
ゴールキーパーは改めてどのようなポジションなのでしょうか。魅力、難しさを教えていただけますか。
西川 どんなに攻められても得点されなければ、チームは負けません。勝ち点0(負け)を勝ち点1(引き分け)にする、勝ち点1を勝ち点3(勝ち)にすることができるポジションだと思っています。難しさは、スポットライトが当たりづらいところですかね(笑)。90分間シュートを止め続け、何度も決定機を阻止していても、最後の最後に決勝点を挙げた選手がいれば、そこにフォーカスがいきますし、インタビューもいきますよね(笑)。ゴールキーパーの価値を高めて、それを変えられたらなと思っています。
山下11人の選手の中で、唯一ボールを手で扱えるポジションで、他のフィールドプレイヤーとは求められる技術がまったく違うのが面白いところだと思います。西川さんが言ったように、点を取られなければ負けないので、影のヒーローになることができます。難しさは自分のプレーが失点に直結するところですね。サッカーのゴールは男女ともに同じサイズで、自分はゴールキーパーの中でも背が低い方なので、ポジショニングの一歩、半歩の調整がかなり重要で。その辺の繊細さは難しいところであり、楽しいところでもあります。西川選手はプレー面でこだわりのようなものはありますか?
西川試合中は楽しんでプレーすることですね。試合は練習で追求してきたことを発表する場所だと思っていて、自信を持って練習の成果を披露しようと。楽しんでプレーすることで、チームがポジティブな雰囲気になりますし、それが他の選手のいいプレーにも繋がるのではないかと思っています。山下選手はどうですか?
山下キャッチングにはこだわりがあります。ゴールキーパーが仕事をするのは、基本的に守備のときですけど、その守備を攻撃に変える大事な役割もあります。ゴールキーパーがボールを弾いてコーナーキックになると相手の攻撃が続きますが、キャッチすればそこから自分たちの攻撃が始まるので。
相手チームの攻撃を終わらせるためキャッチングにこだわっているという山下選手
相手チームの攻撃を終わらせるためキャッチングにこだわっているという山下選手
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