その機能性の高さが認知され、日本の実業団ランナー、大学生ランナーの間でも徐々にPUMA(プーマ)を選択する選手が増えている。たとえば、2024年の箱根駅伝、プーマのランニングシューズをチョイスした選手は20人で、シェアでは4番手。2022年大会では1人だったことを考えると大躍進と言えるだろう。 そんなプーマのトップレーシングモデルの1つ、「DEVIATE NITRO ELITE(ディヴィエイト ニトロ エリート)」シリーズの最新作、「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」が登場。前作からどのようにアップデートされたのだろうか。 プーマ史上最軽量のレース用シューズ
“速さに化ける軽さ”というキャッチコピーとともに登場した、カーボンプレートを搭載したレーシングシューズ「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」。ミッドソールは前作よりも4mm厚くなっているにも関わらず、重量はわずか194g(27cm)。プーマ史上最軽量のレース用シューズであり、圧倒的なスピードにより自己ベスト更新を後押ししてくれるという。「ミッドソールにはプーマ独自の革新的なフォーム素材であるNITRO ELITE FOAM(ニトロ エリート フォーム)を採用しています。昨年12月にリリースしたFAST-R NITRO ELITE 2(ファストアール ニトロ エリート 2)にも同じフォームが採用されていますが、高い反発性と軽量性が特長です。
前作からソールが4mm厚くなった分、フォームの使用量も増えており、クッション性、反発性ともに大きく向上しています」 と、プーマ ジャパン ランニング商品企画担当の安藤悠哉さんは言う。
「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」は、年始からすでに国内外のアスリートたちがレースで着用。今年2月に開催されたマラソン全米五輪予選会では、「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」を着用したフィオナ・オキーフ選手が2時間22分10秒で優勝し、女子マラソン代表の座を射止めた。25歳のオキーフ選手は、これが初マラソンで、選考会における最年少優勝となった。
フットボールスパイクにも使われている新素材をアッパーに
シューズの軽量化にはミッドソール素材の変更に加え、アッパー素材の改良も貢献しているという。「アッパーには、ULTRAWEAVE(ウルトラウィーブ)という軽量性と通気性に優れた独自のウーブン素材を採用しました。これはプーマのフットボールスパイクにも使われている素材で、サポート力も備えています。ミッドソールとアッパー素材が軽くなったことで、前作から約17gの軽量化に成功しました。
ディヴィエイト ニトロ エリート 3の登場で、プーマのトップレーシングモデルはファストアール ニトロ エリート 2と合わせて2種類あることになりますが、自分の好みやスタイル、距離やコースによって使い分けてもらえたらと思っています」
また、アウトソールには耐久性とグリップ力に優れたPUMAGRIP(プーマグリップ)を採用。着地時のブレやスリップを抑制し、エネルギーロスなく前へ前へと進んでいける。
“誰でも履けるカーボン厚底”もアップデート
「ディヴィエイト ニトロ エリート 3」と同タイミングで発表された、もう一つのカーボンプレート搭載シューズが「DEVIATE NITRO 3(ディヴィエイト ニトロ 3)」だ。“誰でも履けるカーボン厚底”というコピーの通り、シリアスに走るランナー以外にもフィットするモデルとなっている。「ディヴィエイト ニトロ 3のアップデートポイントは大きく3点。1つはドロップ(踵部と前脚部の高低差)が6mmから10mmに変わり、より前に進みやすい設計になりました。2つ目がカーボンプレートの伸長です。その結果、ランナーはより大きなエネルギーリターンが得られ、ストライドが伸びるといった効果があります。
3つ目はアッパー素材の変更です。エンジニアード メッシュからエンジニアード ニットに変更したことで、より高いフィット感が得られるようになりました。ディヴィエイト ニトロ 3は安定性にもフォーカスしており、多くのランナーにプーマのランニングシューズのスピードを体感してもらえるシューズになっています」
ディヴィエイト ニトロ 3のミッドソールは、上層にトップレーシングモデルにも採用されている反発性に優れたニトロ エリート フォームを、そして安定性を高めるために下層にニトロ フォームを採用している。アウトソールにはプーマグリップが採用されており 、安定した足運びをサポートしてくれる。
心地好い反発が得られる「ディヴィエイト ニトロ 3」
今回、筆者が実際に足を入れて試したのは「ディヴィエイト ニトロ 3」。長い距離を走ることはできていないのだが、それでもシューズの高いポテンシャルを感じることができた。足を入れてすぐに感じたのは、アッパーの柔らかなフィット感。硬さやキツさを感じなかったあたりも“誰でも履けるカーボン厚底 ”ならではと言えるかもしれない。
ニトロ エリート フォームとニトロ フォームを組み合わせたミッドソールは、反発性が高いのはもちろん、クッション性にも優れている印象。カーボンプレート搭載モデルながら、プレートの硬さを強く感じることはなく、とても心地好く走ることができた。
PROFILE|プロフィール
安藤悠哉(あんどうゆうや)
プーマ ジャパン株式会社 ランニング商品企画
青山学院大学陸上競技部卒
2015年 箱根駅伝総合初優勝 10区2位
2017年 箱根駅伝3連覇、大学駅伝3冠
出雲駅伝 5区 区間記録保持
自己ベスト:5K 13’51 Half 63’30