従来の「背負う」バックパックとまったく違う、ベストのように「着る」タイプのバックパックを野山で目にする機会が増えた。一方、街で書類をあまり持たず、タブレットと貴重品をコンパクトに携行するのに適したアイテムを探すと、本来トレイルランニング用に作られた軽量で小型の「着る」バックパックが選択肢に入ってくる。
全体的に伸縮性のある素材を採用し、フィット感と動きやすさに優れている
菅谷さんによると、ベストのように着るタイプのバックパックが初めて世に知られたのはUTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)の100マイル(160km)トレイルランニング競争で、2009年にサロモンの選手だったキリアン・ジョルネが使用し、ゴールの際に手で掲げた瞬間だった。
「キリアン自身のリクエストで作ったプロトタイプの『ADV SKIN(アドヴァンスド・スキン)』を彼が 高く掲げてゴールする様子が全世界に報じられたんですね。誰も見たことがない、まったく新しいバックパックとして注目が集まりました。当初は『ADV SKIN』という名称より、キリアンが使った『キリアン・ザック』という通称で話題になりました」