近年、フェイスマスク市場が活況だ。ドラッグストアやバラエティショップには専用コーナーが設置され、新商品も続々と登場している。
そのなかで長年シェア1位を誇り、独走状態にあるのが「
ルルルン」だ。2023年12月時点での出荷枚数は20億枚に達した。
なぜルルルンはここまでの支持を得たのか。1枚のシートマスクに込められた多くのノウハウについて、
Dr.ルルルン株式会社の明神賢太郎さんに話を聞いた。
PROFILE|プロフィール
明神 賢太郎(みょうじん けんたろう)
Dr.ルルルン株式会社 ブランドマネージャー兼マーケティング部 ゼネラルマネージャー
「毎日を特別だと感じてほしい」という思いから誕生
ルルルンが誕生した経緯を教えてください。
元々は美容系のECサイトを運営している会社でしたが、自社ブランドを作るべくプロジェクトがスタートしました。ところが開発途中で、東日本大震災がありました。先行きが見えず、不安な思いを抱えるとともに「今まで当たり前に仕事をしてきたけれど、それって当たり前じゃないよね」という気づきが社内に生まれたんです。
そこで「毎日が特別だと感じられるようなモノづくりをしたい」、「スキンケアの機能的価値だけでなく、使った方がご機嫌になる情緒的価値を届けたい」というコンセプトのもと開発を進め、2011年にルルルンが誕生しました。
開発当時の思いはロゴにも反映されています。よく「まつ毛」と言われるのですが、これはご機嫌になった方が気持ちよさそうに目を閉じた様子を表したもので、「ルルルン」という名前は鼻歌を表現したものです。
よく見ると「LuLuLun」の文字の下部が波形になっているのですが、これは日々の気持ちのアップダウンや、うるおいを届けるブランドコンセプトを表しています。
さまざまなスキンケアがあるなかで、シートマスクを開発した理由は何でしょうか?
発売当時、シートマスクというとハイブランドのスペシャルケアが定番でした。1枚1,000円以上もする、高価格帯のアイテムだったんですね。これを毎日使うことができたら、毎日を特別なものに感じられるんじゃないかということで、大容量シートマスクの開発をスタートしました。世の中では約90%以上の方が化粧水を使用しているにも関わらず、肌悩みで「乾燥」をあげた人が多くいます。つまり保湿のために化粧水 を使っているのに、乾燥対策ができていないということがわかったんです。
そこでシートマスクをスペシャルケアではなく、毎日の保湿ケアアイテムとして活用できないかと考えました。
その中から生まれたのが、現在のルルルンのコンセプトである「毎日使える化粧水タイプのシートマスク」です。
シートマスクの利点を教えてください。
貼ることでムラなく、じっくりと肌に浸透させることができます。開発当時の研究では、同じ化粧水を手でつけた場合と、シートマスクを顔に貼った場合では、シートマスクの方が肌の水分量が増えることがわかっています。ローションタイプだからこそ毎日使える
ルルルンがヒットした理由は何だと思いますか?
ルルルンのヒットには2段階あります。ひとつは、先ほど申し上げたように、発売当時はデイリーに使えるシートマスクがなかったということがヒットの理由だと思います。2段階目は、シートマスクの使用頻度が上がったことだと考えています。「スペシャルケアではなく、保湿を目的とした化粧水の代わりに使うシートマスクである」ということを伝える努力を行いました。
徐々に著名人やユーザーさんに浸透し、同時に口コミが増えていきました。その結果現在のヒットにつながったのだと思います。