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2023.01.31

「鯖江クオリティ」に裏付けられた、クラシックでファッショナブルな「BOSTON CLUB」の魅力

日本のメガネづくりと言えば福井県鯖江市が有名で、国内生産シェア96%と言われている。そんな鯖江で1984年に創業した株式会社ボストンクラブが手がけるメガネブランド「BOSTON CLUB(ボストンクラブ)」の魅力を、フラッグシップショップ「GLOSS GINZA」の店長松本昇三さんにお話ししていただいた。

好きな服に合うメガネをつくる

「代表の小松原一身は鯖江出身で、6年半ほど地元のメガネの会社に勤め、企画や営業などを経験し、その後独立して1984年にブランドと同名の会社ボストンクラブを興しました。
1980年代の日本はDCブランドブームでしたが、『この服に合うメガネが無い』ということに気付き、『好きな服に合うメガネをつくろう』と思い立ったそうです」

時代の流れとともにブランド休止、そして再始動

開業からの長い年月で移り変わる時代の変化の中、BOSTON CLUBのブランド展開は平坦ではなかったようだ。その歩みについて話を聞いてみた。
「BOSTON CLUBのブランド展開と並行して、さまざまなアパレルメーカーとのメガネやサングラスの企画、生産なども手がけていました。
BOSTON CLUBが始まった後に、少しずつメガネのセレクトショップというものが国内にでき、BOSTON CLUBのメガネもセレクトショップで展開されるようになっていきました。クラシックなモデルのアイテムを多種つくり、取扱店も50店舗を超えるほどになりました。
1990年代になってくると時代の変化も感じつつ、1度、BOSTON CLUBのブランドを休止し、1996年に『JAPONISM(ジャポニスム)』という新しいブランドを始めます。その後『JAPONISM』は会社で1番取引量が多くなり、今でも続くブランドになっていきます。
さらに1998年には『BCPC(ベセペセ)』という、別コンセプトのブランドも始まりました。そして2013年、翌年に会社が30周年という年にBOSTON CLUBは再始動することになります」
本社のある鯖江市に構える直営店BOSTON CLUB SHOP SABAE
本社のある鯖江市に構える直営店BOSTON CLUB SHOP SABAE

クラシックスタイルを今のデザインに落とし込み、新しいブランドとして蘇らせる

1980年代のクラッシックなデザインを、当時の雰囲気のままブラッシュアップし、変わらぬ世界基準の「鯖江クオリティ」で復活したBOSTON CLUBについて語ってもらった。
「再始動につき、セル巻き[1]や、彫金模様のフレーム、伝統を着崩したプレッピーな跳ね上げに、メタルとプラのコンビ枠など、1980年代当時、若者の間で流行していた少しルーズでクラシカルなスタイルを、今のデザインの中に落とし込み、新しいブランド『BOSTON CLUB』として蘇らせました。
世の中がクラシックなメガネを求めてきている時期とも重なって、当時のBOSTON CLUBのアイテムがまたトレンドなものになってきていると感じています。
30年前の図面や金型を残しており、それを今でも使っているのもブランドの特徴です。クラシックデザインのルーツはアメリカやヨーロッパの影響や、代表のファッション好きなところも、大きな要素になっています。
もう1つ大きな特徴として、鯖江で作っているMade in JAPANのアイテムなのに、2万円台からラインナップしており、3万円台後半ぐらいまでが主な価格帯で、値段が買いやすいということも特徴だと考えています」
銀座にあるフラッグシップショップ「GLOSS GINZA」。BOSTON CLUBをはじめ同社のすべてのブランドが揃う
銀座にあるフラッグシップショップ「GLOSS GINZA」。BOSTON CLUBをはじめ同社のすべてのブランドが揃う

鯖江の職人さんのネットワークで作るメガネ

鯖江のメガネづくりには欠かせない、職人仕事というものがある。細かい細工や柄入れなど、工芸品を作るような技術が必要となるアイテムもある。その鯖江でのものづくりについて語ってもらった。
「自社工場を持っているわけではなく、鯖江の職人さん達がいる町工場のネットワークでつくっています。全盛期は2,000社ほどのメガネ関連の会社や工場がありましたが、今では500社ほどに減りました。
その中でも、プラスチック(アセテート)フレームの加工が得意、チタン加工が得意、合金加工が得意な工場など、それぞれ得意な部分や個性が違い、アイテムによってお願いする工場がそれぞれあります。そのネットワークでラインナップが形成されていきます。
鯖江という街は、1905年からメガネづくりに携わり、もうすぐ120周年なのですが、1980年代にチタンの加工で大きく伸びて、この40年ぐらいで国内外から依頼がくるようになりました。
フレームをつくる工場の他にも、バネやネジなど小さい部品をつくる工場もあり、さまざまな工場が存在している街です。この街ぐるみのネットワークが、BOSTON CLUBのものづくりを支えています」
写真はメガネ関連の工場、手作業でのフレーム削りや加工する機械
写真はメガネ関連の工場、手作業でのフレーム削りや加工する機械
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