世界第2位の環境汚染産業と言われるファッション業界。近年、この業界に関わる者はビジネスを行う上でサステナビリティに対する試みが無視できなくなっている。
新型コロナウイルスのパンデミック以降、消費者の環境問題への意識の高まりからセカンドハンド(古着)ビジネスは右肩上がりで、クローゼットの肥やしになっていた洋服を寄付する人たちが増え、サステナビリティの観点から古着を購入する人たちも増加している。
古着を販売するさまざまなショップやアプリが溢れる昨今だが、ブランドが転売を支援するという新しい試みを始めたのが、デンマークはコペンハーゲンにあるファッションブランド「
Samsøe Samsøe(サムソサムソ)」が導入する「The Resell Tag(ザリセールタグ)」という転売システムだ。
ここでは、ユーザーが手放す洋服を簡単に転売できるよう、広告を生成するという新しい試みを行っている。ブランドが転売を手助けするというユニークなサービスについて、「
The Resell Tag」のチーフ・コマーシャル・オフィサー、シャーロット・ポサージェー(Charlotte Porsager)にインタビューを行った。
PROFILE|プロフィール
シャーロット・ポサージェー(Charlotte Porsager)
The Resell Tag
チーフ・コマーシャル・オフィサー
無視できない、ファッション業界が抱える環境問題への課題
The Resell Tagを創業したきっかけについて教えてください。
ファッション産業は世界中のCO2排出量の10%を占めるという、世界で2番目の環境汚染産業とみなされています。徐々に各ブランドがより持続可能な生産にシフトしていますが、いったん商品が店から離れれば、責任は所有者に移るため、ブランド側が洋服のライフサイクル全体に責任を持つことを可能にする取り組みを作ろうと考えました。これは洋服の所有者である消費者に負担をかけず、簡単に環境保全に取り組める仕組みです。2022年春にスカンジナビア・デンマークのファッションブランド「Samsøe Samsøe」と共同で「The Resell Tag」を創業しました。
「The Resell Tag」は広告代理店「UNCLE GREY」のクリエイティブ・チームによって創業したサービスになります。
洋服の転売は、全ての人が“Win Win”になれる魅力的なシステム
The Resell Tagのアイディアはどこからきたのでしょうか?
前提として、近年では洋服の転売がますます一般化してきています。理由は、環境にも優しく、売り手はいらなくなった洋服を売ってお金を得られ、新しい所有者は欲しかった洋服を手に入れることができるため、全員にメリットがあるからです。
その一方で、オンラインで洋服を売るために魅力的な商品写真を撮り、商品の詳しい説明を作成するという一連の作業は手間がかかることも事実で、それを面倒だと思うことには共感もできます。
簡単に、手間をかけずに新しい所有者に洋服を届けられたらという思いから「The Resell Tag」がスタートしました。私たちのシステムでは「Samsøe Samsøe」というファッションブランドに転売システムを落とし込み、できるだけ簡単にシームレスな再販を可能にすることを考えました。
これは「Samsøe Samsøe」の洋服に付けられた二次元コードをスキャンをすることによって、簡単に別のオーナーに洋服を譲るシステムが出来上がるというものです。
The Resell Tagのメカニズムについても教えてください。
「The Resell Tag」は「Samsøe Samsøe」のアイテムのスキャンコードを使うことから始まります。各アイテムにデータセットがあり、スキャンをして必要情報を入力、承認をすると自動でFacebook広告とInstagram広告が出来上がる仕組みになっています。
広告はターゲティングされた人々の目につくようになっているため、シームレスに洋服を売ることができるんです。