東日本大震災後、岩手県大槌町で震災復興プロジェクトとして「大槌刺し子プロジェクト」が始動した。被災した女性たちが、日本の伝統手芸「刺し子」を施した商品を作り、販売する取り組みだ。
しかし、震災から時が経つにつれて否応なしにプロジェクトへの注目度は下がっていく。またメンバーの高齢化や町外への転出などにより、刺し子に携わる人も徐々に少なくなった。
そこで立ち上がったのが、アパレルブランド「
KUON(クオン)」を運営する藤原新さんだ。大槌刺し子に以前から商品制作などを発注している他、復興支援の次のフェーズとして2024年に「
サシコギャルズ」プロジェクトを始動させた。
藤原さんは、なぜサシコギャルズを立ち上げたのか。活動に込められた思いや目的を伺った。
PROFILE|プロフィール
藤原 新(ふじわら あらた)
株式会社MOONSHOT 代表
法律業界にて従事した後、ファッションによるソーシャルビジネスを志し、2012年に株式会社MOONSHOTを設立。帽子3型を手売りするところからはじめ、ファッ ションビジネスに必要な実務経験を経て、さまざまなプロジェクトを立ち上げる。2016年に設立のKUONにて世界進出を果たす。
ブランディング、店舗運営から戦略立案までを手掛ける。 東日本大震災の被災地での活動や、障がい者支援などソーシャルビジネスの新規事業や支援実績などを推進。
刺し子の可能性を感じ、プロジェクトを発足
「サシコギャルズ」プロジェクトの発足に至った経緯を教えてください。
東日本大震災後の震災復興プロジェクトとして立ち上がった前身の「
大槌刺し子プロジェクト」は、最盛期には100人くらい携わる方がいました。ただ、ボランティアだったので長くは続けられず、現在は事務局員を含めて15名ほどになりました。
復興支援のプロジェクトは、素晴らしい着眼点ではじまるものが世の中にたくさんあるのですが、震災から時間が経つにつれて忘れられてしまい、シュリンクしてしまうんです。大槌刺し子も同じで、そんな状況のなかコロナ禍を迎え、企業からの依頼が減ったこともあり大打撃を受けました。