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2022.12.07

「ザ・ノース・フェイス」の次なる挑戦は、妊娠出産や子育てのサポート

空前のアウトドアブームを迎える昨今、シーンに必要不可欠なブランドとして君臨する「ザ・ノース・フェイス」。そんな絶対王者の次なる挑戦は、妊娠出産など子育てをサポートするマタニティラインを立ち上げたことだった。そして、この秋冬からは男性をメインターゲットにした「Maternity+(マタニティプラス)」もスタート。その挑戦の裏にある思いを、マタニティライン企画担当の矢野真知子さんにお話を伺った。

ブランドが培ってきた機能性で妊婦の負担を軽減

“マタニティウェア”といえば“妊娠中の女性向けウェア”というイメージが強い。しかし「ザ・ノース・フェイス(以下、TNF)」から、男性も積極的に育児に参加すべきというコンセプトを打ち出したコレクションが登場した。
それが、男性をメインターゲットにした同ブランドの「Maternity+(マタニティプラス)」だ。
「ブランドが培ってきた機能性により、妊婦さんの負担軽減ができるのではというアイディアは以前からあり、2019年秋冬にグローバルと連動した女性キャンペーン(女性強化施策)を実施することが決まったタイミングで、“マタニティをやるのは今ではないか”という意見があがり、同年、マタニティラインを立ち上げました。
そこでの好評を得て、“産前”だけでなく“産後”も使えるというコンセプトのもと、抱っこに対応するダウンコートなどのアイテムもラインナップ。その際、産後に子供を抱くのは女性だけではない、育児は性別を問わないという思いから、2021年よりユニセックスアイテムを発売。
2022年秋冬には”妊娠・出産・子育て”と共にある人々の冒険を可能にするというミッションのもと、カテゴリー名を“マタニティ”から“マタニティ+(プラス)”へと拡張し、男性(パパ)の意見を反映させた新商品も展開していくことになったのが、大まかな流れです」
腹部の圧迫が少なく妊娠中にも着用しやすいオーバーオール。はっ水性・ストレッチ性を併せ持つ、裏起毛素材を採用。妊娠中の衣服着脱のストレスを軽減するドロップシート仕様。脇のコンシールファスナーで腹囲サイズを調整することで産前産後問わず着用可能だ。マタニティ ウォーム オーバーオール¥25,300
腹部の圧迫が少なく妊娠中にも着用しやすいオーバーオール。はっ水性・ストレッチ性を併せ持つ、裏起毛素材を採用。妊娠中の衣服着脱のストレスを軽減するドロップシート仕様。脇のコンシールファスナーで腹囲サイズを調整することで産前産後問わず着用可能だ。マタニティ ウォーム オーバーオール¥25,300
最初は“TNFでマタニティなんてどうすればいい?”と社内のメンバーも困惑し、大きなプレッシャーもあったという。まずは“TNFのマタニティとは何か、どういうものであるべきか”を考えるところから、企画がスタートしたそうだ。
「まず着手したのは、社内にいる子育て中の女性へのヒアリングです。アンケートや座談会を通して、どんなマタニティウェアを買ったか、どういった課題があったかを聞いていくと、思いのほか“買わなかった”人が多かった。理由は“着たいものがない”からで、多くの人はメンズサイズなどを着て過ごしていたそうです」
矢野さん自身もまた、耐久性やデザインの点で、既存のマタニティウェアに満足していない一人であった。
そこから、製品が完成するまでは、“なぜTNFがマタニティをやるのか”という疑問の声は多くあったそうだ。ただ、実際にサンプルが完成し展示会で発表をすると大好評。ユーザーからも高い関心を得ることができたそうだ。
商品も欠品が相次ぎ、新規作成し店舗に投入したマタニティ専用の什器を販売開始1週間で引き下げる店舗も多くあるほどの大成功を収めた。

産前産後、男女兼用で実用的なプロダクトに

その成功を経て、2022年には男女兼用のコンセプトを持つ「Maternity+(マタニティプラス)」をスタートさせ、マタニティライン同様、かなり好評を得ている。企画担当の矢野さんは語る。
「2019年にマタニティの展開を開始した当時より、産後兼用を謳うのであれば男性が着用できる商品も必要だという考えがありました。マタニティの成功例があったためか、ユニセックスへの拡張は特に抵抗がなく、やるべきだという賛同の声は多かったですね。また、ユーザーの反応も上々で、夫婦で試着をし購入していただく方が多くいらっしゃいました」
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