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2023.03.09

Timberlandの「イエローブーツ」と共に歩んだ50年を探る

Timberland(ティンバーランド)」といえば、1973年に発売され、今年で50周年を迎える「6インチ プレミアム ウォータープルーフ ブーツ」、通称「イエローブーツ」が有名だ。まさにブランドを代表するアイテムと言える。
長い歴史のなかで、Timberlandを語る上で欠かせない3つの揺るぎない定番アイテムを、VFジャパン株式会社のティンバーランドマーケティングエグゼクティブである大木文太さんに、ブランドのルーツを交えながら紹介してもらった。
「Timberlandは、アメリカ・ニューハンプシャー州で1973年に創業しました。創業者の『ネイサン・シュワーツ』は、1950年代に『アビントン・シュー・カンパニー』という会社を買収し、そこから靴屋を営んでいました。そして、『イエローブーツ』が発売されたのと同じタイミングで、Timberlandというブランドもスタートしました。
この『イエローブーツ』は、完全防水ブーツとしてリリースされました。1970年代に完全防水をうたったブーツというのは、世界初の革新的なアイテムだったことは間違いありません。その後、1978年に社名もTimberlandへと変わっていきました」

唯一無二にして定番中の定番「イエローブーツ」をさらに深掘り

「土地柄、『イエローブーツ』は山用のワークブーツとして需要が多く、生活では欠かせないアイテムとなっていまして、そこが原点になっています。
創業者が強い意志を持って、防水でなるべくタフなものを作りたいと考えた結果、このブーツはヌバックにシリコンを染み込ませ、防水効果を高めるという独自の方法で開発されました。
さらに、インジェクション製法といって、底材となる液状の原料を金型に注入してソールを成型するとともに、アッパーに圧着する製法を採用しています。この作りは手縫いの靴のように水が侵入する恐れがないという特徴があります。
インナーにはPrimaLoft®(プリマロフト®)という保温性に優れた素材を採用し、シューレースを締め上げて履くと暖かさも確保できる構造になっています。
春夏の透湿性、秋冬の暖かさという側面を合わせ持ち、そもそもシリコンを使った手法の防水ブーツというのは他にはなく、唯一無二のアイテムといえます。
その後1990年代に入ると、HIPHOPシーンで『イエローブーツ』が爆発的にブームとなり、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)、Gang Starr(ギャング・スター)、Nas(ナズ)、2pac(2パック)、Eminem(エミネム)など、世界的なスターたちがこぞって履いてくれました。
ブランドにはファッションアイコンとしての存在が不可欠ですが、Timberland愛用者には音楽に精通している方々が多く、ブランドとしてもそのルーツを大切にしていきたいと思います」

日本でのブームが印象的な「3アイレット」

Timberlandを語る上で欠かせないのが、ボートシューズの「3アイレット」と呼ばれる「スリーアイ クラシックラグ」だ。この「3アイレット」シューズには、「イエローブーツ」とは異なるストーリーがある。引き続き、大木さんにお話を伺った。
「1970年代、海辺や港で使う靴として、ボートシューズは必要とされているアイテムでした。Timberlandでもオリジナルでレザーシューズを作れないか、ということで最初は一般的な2アイレットの『2アイボートシューズ』というアイテムがリリースされました。
その後、よりTimberland独自のアイテムを作りたいということで、『イエローブーツ』と同じオリジナルソールを使った『3アイレット』というアイテムが1978年にリリースされました。
『3アイレット』は、もちろんアウトドアやワークシューズとして十分通用するアイテムなのですが、ファッションアイテムとしても評価が高く、特にここ最近は人気が再燃しています。
もともと日本では1990年代の渋カジブームというものがありまして、紺のブレザーにフレアデニム、それに『3アイレット』を合わせるというスタイルで人気が出ました。最近では、シティボーイ的なテイストで紹介されることが多いです。
モカシン部分は手縫いで縫っており、オイルドレザーを使っているので、履くほどに味が出るアイテムです。
現在、このシューズはもちろん世界中で販売されていますが、最も特筆すべき点は、日本でのヒットが世界的な成功につながっているということだと思います」
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