

Articles
『AKIRA』を筆頭に過熱するヴィンテージアニメTシャツ、「chillweeb(チルウィーブ)」が発信する日本のポップカルチャー
一昨年から一気にその人気に火がついたヴィンテージアニメTシャツは、令和のヴィンテージカルチャーを牽引していると言っても過言ではないだろう。
そのムーブメントの一端を担うお店が、裏原宿にある「chillweeb(チルウィーブ)」だ。 去年の3月にオープンした同店は、ヴィンテージアニメTシャツを筆頭に、オーナーのチルさんが厳選したアイテムが揃う。
今回は、より勢いを増しているヴィンテージアニメTシャツの現在地についてチルさんにお話を伺った。
アニメTシャツブームの先駆け「チルウィーブ」がオープンするまで
日に増して価値が上がっているヴィンテージアニメTシャツ。 そのルックスからは想像できないほど高値になり話題が絶えないが、チルさんはどのような経緯でヴィンテージアニメTシャツと出会ったのだろうか。「もともと僕自身がコレクターで、アニメTシャツやバンドTシャツ、その他のアーカイブアイテムを好きで集めていました。
次第にコレクションがかなりの量になってきたので、最初はコレクターのポップアップという形で販売してみたところ、予想以上にお客様の反響が大きかったんです。
当時、アニメTシャツを専門的に扱う店舗はほとんどない状況でしたので、その専門店を作ったら面白いのではないかと考え、コレクターから転じて店舗をオープンすることになりました」
2022年の5月に代田橋でオープンし、2024年3月に裏原宿に移転したチルウィーブは、ヴィンテージ愛好家の間で瞬く間に話題となった。
2022年の5月に代田橋でオープンし、2024年3月に裏原宿に移転したチルウィーブは、ヴィンテージ愛好家の間で瞬く間に話題となった。
原宿裏通りという好立地で、アクセスの良さも相まって、YouTubeの撮影やファッション媒体の取材など、日々多くの人が訪れている。
現在では、アニメTシャツの価値はファッショントレンドに敏感な層を中心に広く認知されているが、当初は限られたコミュニティ内でのトレードや売買に留まっていたという。

「アニメTシャツが好きな人も、僕がコレクターとして活動していたときはまだ片手で数えるぐらいしかいなかったんですよ。 日本国内で本気でアニメTシャツを集めている人なんて、僕を含めて4、5人程度でした。
最初に海外でアニメTシャツが注目された際も、20人程度の小さなコミュニティで盛り上がっているジャンルで、そのうち日本人が5人ほどという狭いカルチャーだったんです。
それが今では、コレクターの数が信じられないほど増えています。当時の20人規模から、今や大きなマーケットへと急成長しました。この規模の拡大には驚きますが、この文化が広がることはいいことだと思っています」
ヴィンテージ好きの芸能人の間でも、ヴィンテージアニメTシャツの虜になっている人は多いが、その価格帯も話題になり、最近では古いものだけでなく2000年代を代表するアニメのヴィンテージTシャツの価値も上がってきている。
ヴィンテージ好きの芸能人の間でも、ヴィンテージアニメTシャツの虜になっている人は多いが、その価格帯も話題になり、最近では古いものだけでなく2000年代を代表するアニメのヴィンテージTシャツの価値も上がってきている。
「『AKIRA』は昔からスケートカルチャーとの結びつきが強く、ずっと高値で取引されてきました。
アニメTシャツの価値が上がり始めたのは、僕たちのような専門店やヴィンテージショップで取り扱うようになってからだと思います。特に2000年頃の京アニ系(京都アニメーション)は、現在では非常に高価になっています。
それぞれの世代にとって、その時代を代表する作品がマスターピースになるんですね。
僕たちの世代は『けいおん!』や『らき☆すた』、『涼宮ハルヒの憂鬱』などの作品をリアルタイムで見ていたので古さは感じませんが、今の10代の若者たちにとっては、むしろノスタルジックな発掘対象となっています。
今は若い世代からの需要とアニメTシャツの人気が重なっているため、自然と価格が上昇していく状況です」

高騰する一方で、偽物も…購入するときのポイントは?
普段からヴィンテージに嗜んでいなくても、話題のヴィンテージアニメTシャツが気になっている人も多いはずだ。現在では、フリマサイトでも多く見かけるようになったが、初心者が購入する際は、どのような点に気をつけるべきなのだろうか。
「やはり、タグですね。
タグとは、製品概要が印刷されたネームタグのことですが、このタグの状態やサイズの希少性によって、アニメTシャツの価格は大きく変動します。
需要と供給で値段は決まるので、『AKIRA』のTシャツでフルーツオブザルームのタグとファッション・ヴィクティムのタグのものがあったら、ファッション・ヴィクティムのものの方が需要があるので値段も高くなります。
ただし、初心者の方にとっては、どちらも同じTシャツで生産された年代も近いので、最初からタグにこだわる必要はないと僕は考えています」


また、気をつけないと、知らずにフェイク品を買ってしまうこともあるという。
「オフィシャルではなくても、ヴィンテージだと価値があるというのが古着の世界ではあります。
実際に、このグリーンの『AKIRA』のTシャツも90年代初頭に製作されたTシャツということで、現在では高い価値がついています。
たとえば、コピーライトの付く『AKIRA』のファッション・ヴィクティム等の海外で販売されていたTシャツは、長年オフィシャルだと言われていたのですが、大友先生はブートだと言っているんですよ。このように、作者本人ではなく、海外の版権元が許可を出すケースもあります。
一方で、問題なのは明らかなフェイク品ですね。
特に2000年代、2010年代のアニメTシャツのフェイク品が近年急増しています。インターネット上の画像を無断でプリントし、古いタグを付けて偽装するようなケースです。
この年代のブランクボディー(無地Tシャツ)は今でも簡単に手に入るので、そのボディーにインターネット上の画像を無断でプリントして、オフィシャルようにコピーライトまで勝手に入れて、偽造するようなケースが多く見られます。
アニメの年代とボディーの年代も合っていて、コピーライトまで付いているので消費者は騙されてしまいますよね。
さらに、意図的に古着加工を施すため、見分けるのが難しいケースもあります。このようなフェイク品が、かつて製作された本物のアニメTシャツとして、4、5万円という価格で取引されることもあるので、十分な注意が必要なんです」
ヴィンテージ×アニメTシャツで広がる世界


メディアでも多く取り上げられ、まさに現在アニメTシャツは旬なアイテムになっているが、今後は市場も変わっていくだろうとチルさんは話す。
「今後も市場は変化していくと思いますね。
最近の傾向として、2000年代後半から2010年代前半の比較的新しい作品のTシャツにも価値がつき始めています。
今はブームで盛り上がっていますが、いずれは落ち着きを見せる時期が来るのではないかと考えています。
しかし、ブームが落ち着いたとしても、『AKIRA』のTシャツが、いきなり2、3万円程度で取引されるような世界には決してならないと思いますね。
『AKIRA』は、すでに作品自体に価値があります。バンドTが好きな人のように、アニメTシャツも歴史あるものは、カルチャーとして普遍的な価値を保っていくように思います」
ヴィンテージ×アニメという切り口で、令和のヴィンテージカルチャーを牽引しているチルさんに、今後の展望を聞いてみた。
「今後はオリジナル商品の展開も考えています。もちろん、これまで同様、厳選した古着の販売も続けていきたいです。
アニメTシャツのほかにも、いいツラ(Tシャツのフロント部分)のTシャツは数多くありますし、チルウィーブでは幅広いヴィンテージアイテムを取り揃えています。
アニメTシャツのほかにも、いいツラ(Tシャツのフロント部分)のTシャツは数多くありますし、チルウィーブでは幅広いヴィンテージアイテムを取り揃えています。
現在はアニメTシャツの価格に注目が集まっていますが、その価値はヴィンテージという側面だけでなく、作品自体の魅力も大きな要素です。そういった部分への理解も広がってほしいと考えています。
また、日本のアニメは素晴らしい文化のひとつですので、ツラに描かれた作品の世界観にも興味を持っていただけたらうれしく思いますね。
今までアニメ自体は好きだったけど、最近古着にも興味が湧いたという方もウェルカムですし、初心者の人も最初は1万円くらいのTシャツなんかでいいので、そこからはヴィンテージにハマってくれれば僕もうれしいです」
ファッションに敏感な若者から業界人まで、幅広い層を魅了し続けるチルウィーブ。アニメTシャツがここまで注目を集めているのは、従来のヴィンテージとは一線を画す「新しさ」と、私たちの知的好奇心を刺激する独特の世界観があるからだろう。
チルウィーブのアニメTシャツに少しでも興味を持った人は、ぜひ実際に店舗を訪れてみてほしい。きっと、そこから新たな世界が広がるはずだ。
Text by Tajimax














