

Articles
アイナ・ジ・エンドやアオイヤマダの衣装を手掛けるコスチュームアーティスト・ひびのこづえが考える「本当の服」
PROFILE

静岡県生まれ 東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。
コスチューム・アーティストとして広告、演劇、ダンス、バレエ、映画、テレビなどその発表の場は、多岐にわたる。毎日ファッション大賞新人賞、資生堂奨励賞、紀伊國屋演劇賞個人賞受賞ほか展覧会多数。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」のセット衣装を担当中。歌舞伎「野田版 研ぎ辰の討たれ」、「野田版 桜の森の満開の下」 現代劇の野田秀樹作・演出の「兎、波を走る」、「フェイクスピア」、「正三角関係」 森山開次ダンス「サーカス」新国立劇場、「不思議の国のアリス」、「星の王子さま-サン=テグジュペリからの手紙-」KAATなど衣装担当。ダンスパフォーマンス「WONDER WATER」、「FLY、FLY、FLY」、「Rinne」、「Piece to Peace」「MAMMOTH」、「RYU」、「ROOT:根」、「UP AND DOWN」「二人のアリス」「アリとキリギリスと」を企画展開中。2018年個展「60(rokujuu)」市原湖畔美術館、2019年個展「ダンス・ザ・イフク/太ンス宰府ク」太宰府天満宮文書館・九州国立博物館、2021年個展「森に棲む服」そごう美術館、2022年個展「不思議の森に棲む服 ひびのこづえ×熊本展 Wonder Forest Closet」熊本市現代美術館にて開催。
奥能登国際芸術祭、大地の芸術祭、瀬戸内国際芸術祭に参加。
能登地震・珠洲応援ダンスプロジェクト発足活動中。
オフィシャルサイト
「大きな服」と「小さな服」
はじめに、ファッションに関わる仕事をしようと考えたきっかけを教えてください。
もともとは東京藝術大学のデザイン科出身だったこともあり、ファッション関連の仕事をしようとは考えていませんでした。ファッションの中でもコスチュームの仕事をされるようになったのには、何か理由があるのでしょうか?
コスチュームという道を選んだ、というよりは、私が作るものは最初からコスチュームだったという表現の方が正しいかもしれません。大学ではグラフィックデザインを学んでいたので、ファッションの勉強は一度もしたことがなく、パターンも自分で引けないし、服に対する理論も知りませんでした。これまでの活動の中で、転機となった仕事があれば教えてください。
NHK Eテレの「にほんごであそぼ」での仕事ですね。20年以上前に依頼をいただいてから今も続いているのですが、コスチュームだけでなく、スタジオセットも含めた仕事で、演出的な側面を考えながら空間を作る、というアプローチができました。
コスチュームは「人」にもっとも近い存在
コスチュームは演劇やダンスパフォーマンスなどの作品において、どのような役割を担っていると思われますか?
私が目指しているところでもありますが、言葉ではなくビジュアルで物事を表現し、作品の世界を広げることではないでしょうか。
コスチュームと、人々が普段着るような衣服にはどのような違いがあると思いますか?
普段着はコスチュームほど明確なテーマや役割があるわけではないものの、日常の中にもドラマはいっぱいあるので、根本的な役割は一緒だと思っています。舞台上でも必要に応じて日常の服を使う、といったケースもあります。人との関わりから生まれる面白さ
2018年に開催した展覧会「60」内では、ご自身のやりたいこととして「人に本当の服を着せる事」といった文章を書かれていましたが、ひびのさんの考える「本当の服」とはどういったものなのでしょうか?
20代の頃から服を作り続け、人と関わってきたなかで60歳を迎えて思ったのは、私は服を作りたいわけではない、ということでした。
そのような気づきを得たきっかけは何かあったのでしょうか?
石川県の珠洲で開かれている奥能登国際芸術祭が契機になったように思います。2017年からスタートした仕事で、自分でゼロからやってみたいことを企画する、という機会をいただきました。
今後、作ってみたい服があれば教えてください。
先ほども話したように、服というよりは一緒に作品を作っていきたいと思える人を探しています。直近では、2024年の「二人のアリス」という作品に出演していただいた、アオイヤマダさんとアイナ・ジ・エンドさんがそう感じた方々でした。ひびのさんは、服そのものではなく、人が服を着ることによって生まれる空気感や世界観をデザインしている。そのスタイルの根幹は活動初期から今に至るまで変わっていない。今も新しいことに挑戦し続けているひびのさんが作る「本当の服」がどのようになっていくのか、今後も目が離せない。
ヘッダーキャプション:東京芸術劇場TACTフェスティバル
Text by 石塚 振







