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フランス唯一の「イヴ・サンローラン美術館」で時代を切り開いてきたフォルムを追随する
マルソー通り5番地のアトリエには、20世紀を代表するファッションデザイナー、イヴ・サンローランが今にもその場に戻ってくるかのような佇まいがある。
デザイン画の上に置かれたメガネとデスクの端に置かれたガラスのコップ。積み重なる本の後ろには、雑多な写真とイヴ・サンローランの自画像が壁にかかる。もしかしたらランチで席を外しているのではと思わせるような、場の空気がそこには存在している。
パリ8区と16区の境に建つ「イヴ・サンローラン美術館(Musée Yves Saint Laurent)」は、1974年から2002年まで同メゾンの本社が置かれていた建物だ。服やアクセサリー、デッサンなど、イヴ・サンローランにまつわる膨大なコレクションを擁し、その最上階がこの当時のままを保存したアトリエとなっている。イヴ・サンローラン自身も、実際にここでデザイン画を描いていた。

かつては関係者かオートクチュール(高級仕立て服)の顧客でなければ、なかなか足を踏み入れることもできなかった聖地が、2017年から美術館として一般開放されている。
イヴ・サンローランの気品を体現した建物
目の前にセーヌ川が流れる地下鉄9号線アルマ・マルソーの駅。地上に出て、交差点の向こうに大きく目に飛び込んでくるエッフェル塔を左手に、プレジダン・ウィルソン通りを経由しつつマルソー通りへ入ると、「Yves Saint Laurent」という銘が入ったフランス第二帝政時代の建物にたどり着く。イヴ・サンローラン美術館である。
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