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2022.06.28

誰もがクリエイターになれるメタバース: ZEPETO

数あるメタバースのアプリケーションのなかで、現在躍進しているのが韓国のNAVERグループが提供している「ZEPETO(ゼペット)」だ。写真を撮るだけで自分のアバターを作るだけでなく、様々なアイテムを購入することで自由にファッションを楽しむこともできる。昨今では、InstagramやTikTokといったSNSでも目にする機会が増えてきただけでなく、著名人たちも愛用していることに気づいた人も多いだろう。
なぜZEPETOは、全世界的にも人気を集めることができたのだろうか。そこで今回NAVER Z Corporationの金希頻(キム・ヒビン)さんにインタビューを行い、ZEPETOの魅力と今後の展望について伺った。
PROFILE|プロフィール
金希頻(キム・ヒビン)
金希頻(キム・ヒビン)

1976年生まれ。2005年延世大学校音楽大学卒業後、サウンド制作、ゲームプロデュースに従事。韓国で国民的ヒットとなった「숫자쏭(数字ソング)」など、多くの人気楽曲を生み出す。韓国のNAVERやCJ ENMでのサウンド制作やコンテンツ制作を経て、2011年に来日。LINEに入社後、ゲーム事業の責任者として様々なゲームサービスをヒットに導く。2017年、Devsisters Japanの代表取締役に就任。2020年にはNFT、メタバースの専用音源著作権事業のため「Ssong corporation」を設立し代表取締役に就任。2022年3月よりNAVER Zに入社し、メタバース「ZEPETO」の日本事業統括を務める。

ユーザーのコミュニティーとクリエイターの創出

ZEPETOの概要や立ち上げの経緯を教えてください。
簡単に言ってしまえば、ZEPETOはスマホで利用できるメタバースになります。元々はカメラアプリで有名なSNOWから派生したソーシャルアプリで、得意としていた顔認証の技術を生かしてアバターを作成し、仮想空間で他のユーザーとコミュニケーションを行える場を提供しています。他にも様々な機能を用意しており、アバターを元にアニメーションを作成することも可能となっています。
全世界で3億人以上のユーザーがいらっしゃいますが、国際的に広く受け入れられている要因はどこにあるとお考えでしょうか。
現在、アメリカやフランスでも利用者が拡大していますが、主に日本や中国、タイなどのアジア圏を中心に人気を博しています。正確な数字を出している訳ではないのですが、5~10%は日本のユーザー、特にZ世代が占めています。
ZEPETOはSNSとしての役割も担っているので、ユーザー間でのソーシャライジングが活発に行われていることと、「ZEPETO」を主軸に活動しているゼペッター(インフルエンサー)の存在が利用者拡大の要因だと思います。アプリ内では自己表現のためのツールが多数用意されているので、現実の世界ではなかなか表現できなかったこと、たとえば髪型やメイク、ファッションといったスタイルの変化も、ZEPETOアバターを使えば簡単に楽しむことができます。
実際、ZEPETOの強みは、そうしたソーシャル活動とUGC(ユーザー生成コンテンツ)制作にあると思っています。私たちは「ZEPETO Studio」というユーザーが様々なコンテンツを制作、販売できるツールを提供しているのですが、その人気は非常に高く、ゼペッターが制作するアイテムは非常に注目されています。今では400万以上のアイテムがリリースされており、累積販売数としては1億5000万個以上となっています。
販売されているアイテムの中では、どのようなアイテムが人気を集めているのでしょうか。
大前提として、新しいアイデアが人気を集めています。ZEPETO内では、アイデアさえあればアイテムを製作し表現することができるので、誰もがファッションクリエイターになれるところが魅力となっています。実際に世の中で販売されているアイテムをそのまま3D化したものや、高級ブランドのバーチャルアイテムなど、これまでZEPETO内になかったデザインが制作されることで、新たなトレンドが生み出されています。
これまでコラボされた企業様はどういったところが多いのでしょうか。
ファッションやエンターテインメントといった形で100を超えるIPやブランドとタイアップをしてきました。ここ1、2年で大きな話題になったのはGUCCIなどのラグジュアリーブランドとの協業だと思います。実際にブランドが販売している洋服などを360度から撮影し、それをZEPETOでバーチャル化して販売しています。
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#Virtual Reality
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