水引の新しい形を:昭和5年創業の有高扇山堂がアートに挑戦し得た学びとは?
2025.02.19
水引の新しい形を:昭和5年創業の有高扇山堂がアートに挑戦し得た学びとは?
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思わず目を引く、吸い込まれるような存在感のあるカラフルな仮面。よく見るとパーツ一つひとつはワイヤーのような細い紐状の素材で組み上げられている。この仮面の素材は水引。結婚式をはじめ日本の儀式の場で用いられる装飾だ。
この仮面を制作しているのは、株式会社有高扇山堂の専務取締役であり、愛媛県の伝統工芸士でもある有高智佳代さん。有高さんは仮面作りを通して、通常の水引細工では感じられなかったある感情を抱いたと語る。その感情が、現在の活動の原動力になっているそう。今回は、有高扇山堂の有高智佳代さんに、水引や仮面、そして今後についてお話を伺った。
PROFILE|プロフィール
有髙 智佳代(ありたか ちかよ)
有髙 智佳代(ありたか ちかよ)

株式会社有高扇山堂 専務取締役 水引デザイナー
えひめ伝統工芸士
近年は美結会(伊予水引金封協同組合の女性会)のメンバーとして、地元の小中学校を中心にワークショップを行う他、水引を日本の文化として伝える活動を行う。

素材の持つ強さが水引の魅力 現在は海外でワークショップも

最初に、水引細工について教えてください。
水引細工はもともと結納品として使われており、海老や鯛、玉結び、老いの波、梅結び、松結びなど、多種多様な結び方があります。

しかし、どの結び方も基本は同じで、「あわじ結び」という結び方がベースになっています。極端にいえば、あわじ結びができればどの結び方にも応用できるイメージです。

水引は紙でできていると聞きますが、ここまで立体的に仕上がるんですね。
それは水引という素材が持つ力です。一見すると水引は紐に見えるので、ここまで立体的になるとは想像しにくいかもしれません。しかし、水引は紐ではなく、強度があるため立体的な結びも可能なのです。

その秘密は水引の素材、つまり日本古来の紙である和紙にあります。和紙をこより状にして水ノリで固めると水引になります。現在では、その上に糸やフィルムを巻くことで完成します。

私個人の感想ですが、これほどの強度を持つ素材はほかにないと感じています。だからこそ、水引そのものの素晴らしさを伝えたいという想いから、造形にこだわって制作をしているんです。それがすごく楽しいんですよね。
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