型を守り、型を破る——黒羽藍染紺屋8代目という在り方
2026.04.20
型を守り、型を破る——黒羽藍染紺屋8代目という在り方
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栃木県・大田原市黒羽地域で、江戸時代から続く藍染工房「黒羽藍染紺屋」。8代目を務める小沼さんは「職人らしくない職人」でありたいと語る。
厳しい修業を経て、スニーカーや空間デザイン、異業種とのコラボレーションへ。伝統を守りながら、枠を越えていくその姿は、これまでの職人像とはどこか違う。
型を守り、型を破る。黒羽の藍は、今新しい表現へとひらかれている。
PROFILE|プロフィール
小沼 雄大(おぬま ゆうた)
小沼 雄大(おぬま ゆうた)

1985年栃木県大田原市生まれ。藍染工房「黒羽藍染紺屋」8代目。高校卒業後、東京で型染めの修業を積み24歳で家業を継承。伝統的な黒羽藍染の技法を受け継ぐ職人として、スニーカーや空間デザインなど新たな表現にも取り組み、その魅力を現代に発信している。

那珂川の材木商の作業着として育まれた黒羽藍染

栃木県那須塩原駅からバスに揺られること約20分。大田原市黒羽地域にある黒羽藍染紺屋にたどりつく。蔵の入り口には、屋号である「て」と染められた、藍色の暖簾が風に揺れている。

「今年で創業222年。江戸時代から続く藍染工房で、僕で8代目になります。黒羽城の城下町として栄えたこの地には、近くに流れる那珂川で木を江戸まで届ける材木商が多くいたんですね。藍染は農民などの衣服が多いですが、黒羽藍染は商人の作業着です」

商人たちは、屋号を入れた藍染のはんてんを作らせた。重ね着すればするほど、商売が繁盛している余裕を示すことにもなると、職人たちはその数を競ったのだという。

「黒羽藍染は作業着なので、しっかりした生地と深く濃い藍色が特徴です。松煙染めといって松の根を燃やした煤と膠に大豆の汁を合わせた液で最初に引き染めすることで、生地は強くなり、深く強い濃い色に染まります」

そこに、糠と餅粉を炊いた糊を用いて、伊勢型紙で模様を付けていく。糊付けした生地を藍染めすることで、藍色に白が映える美しい模様が浮かび上がる。

廃業した職人などから譲り受けて、現在6,000枚以上の伊勢型紙が紺屋にあるという。
廃業した職人などから譲り受けて、現在6,000枚以上の伊勢型紙が紺屋にあるという。