紀州箪笥に魅せられて──女性初の伝統工芸士、東ちあきの歩み
2025.11.26
紀州箪笥に魅せられて──女性初の伝統工芸士、東ちあきの歩み
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紀州箪笥の塗装部門で、全国で初めて女性として桐箪笥部門で伝統工芸士に認定された東ちあきさん。かつてはアパレル業界で深夜まで働き、ものづくりとは別の世界に生きていた彼女が、結婚を機に紀州箪笥の工房に飛び込んだ。
見知らぬ土地、初めて触れる伝統工芸、そして子育てとの両立──。「自分には関わることのない世界だと思っていた」という彼女が、桐に魅せられ、職人としての誇りを手にするまでの道のりには、嫁いだからこそ見えてきた喜びと葛藤があった。
PROFILE|プロフィール
東 ちあき(あずま ちあき)
東 ちあき(あずま ちあき)

1982年11月2日生まれ
1998年守山女子高校被服科入学
デザイン部にてKDKコンテスト 京都新聞社賞受賞
2001年4月D‘sファッション専門学校パターンパタンナー科入学 NDKコンテスト・KDKコンテスト受賞
2002年(株)ファイブフォックス アルバイトで入社
2004年(株)ファイブフォックス 正社員に採用
2005年結婚
2005年8月退社
2007年長男出産
2009年次男出産
2009年入社(それまではお手伝い)
2011年三男出産
2022年紀州箪笥 伝統工芸士(塗装部門) 認定

出会いから始まった、思いがけない縁

京都で服飾の専門学校を卒業後、アパレル販売員として働いていたちあきさん。深夜まで続く販売の現場は体力勝負で、慌ただしい日々を送っていました。そんななか偶然出会ったのが、のちに夫となる紀州箪笥職人の東福太郎さんでした。

「最初はアプローチされていることにも気づかなくて(笑)。でも、自然とご縁が重なっていきました」

結婚を機に和歌山へ嫁ぎ、夫の実家が紀州箪笥の工房を営んでいることを知ります。滋賀出身のちあきさんにとって、桐箪笥は身近な存在ではなく、「母が1棹持っていた程度で、どこで作られているのかも知らなかった」と言います。

「まさか自分がその工房に入るなんて、想像もしていませんでした。嫁いでから“こんな有名な工房なんだ”と知って鳥肌が立ったんです」

東さんご夫婦の結婚式
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